次の"Redstone 4"は2018年3月リリース予定

さて、最後にWindows バージョン1803となるRS(Redstone)4への変化を空想してみたい。Microsoftは2017年8月の時点でWindows 10 Insider Previewを分岐する「Skip Ahead」を実施した。下図はMicrosoftの公式ブログに掲載されたものだが、「Not Skip Ahead」は文字どおりWindows 10 バージョン1709をスキップせず、「Skip Ahead」は同バージョン1709をスキップしてRS4に進むプログラムである。

筆者は本稿を執筆する関係から、Skip Aheadを選択しなかったが、Microsoftの説明によれば2017年7月の発表直後に応募枠が埋まったという。とある先輩ライターは複数台のWindows 10 Insider Preview PCでSkip Aheadを選択したものの、適用できたのは1台のみだったそうだ。

「Not Skip Ahead」と「Skip Ahead」の違い

Windows 10 Insider Previewでは「設定」の<更新とセキュリティ/Windows Insider Program>から、Skip Aheadを選択できた

MicrosoftはSkip AheadとFastリングを選択したインサイダーに対して、2017年9月上旬にビルド16362、同下旬にビルド17004をリリースし、既にRS4の開発は着々と進んでいる。後者ではFluent Designの適用範囲が<すべてのアプリ>に広がったように、各所へFluent Designが広がるのは確実だ。

Windows 10 Insider Preview ビルド17004では、<すべてのアプリ>にもFluent Designが適用された

ただし、RS4で劇的な進化を望むのは難しい。MicrosoftはWindows 10のリリースタイミングを3月と9月の年2回に定めたからだ。例えば「開発期間があと1カ月あれば、○○を実装できる」というケースは枚挙に暇がない。そのためFluent DesignもWave1、Wave2と実装段階を当初から用意しているものの、RS4でWave2が完成するか否かは不明だ。このように、Windows 10 バージョン1709でTimeLineなどの機能実装をスキップしたようなケースは今後も起きるだろう。

では、RS4は取るに足らない存在になるのだろうか。答えは否だ。例えばOffice 365はMicrosoftがIgnite 2016で発表した「インテリジェントサービス」をOffice 365アプリケーションに組み込み、AI(人工知能)やクラウドパワーを使って人間の作業生産性を向上させる機能を組み込んでいる。本稿をご覧の読者諸氏も、スライドデザインや項目の配置を自動化するPowerPointデザイナーの利便性を享受していることだろう。他方でWord/Excel/PowerPoint バージョン1708は3Dモデルに対応し、Windows 10が供える3Dモデル作成機能との連携を可能にしている。このような相互補完性がRS4では強化されるのではないだろうか。

Office 365アプリケーション バージョン1708で加わった3Dモデルの操作機能

この観点から見れば、Microsoft CEOのSatya Nadella氏が基調講演などで強調する「AIファースト」のアプローチがWindows 10にも含まれるはずである。TimeLine(の背景にあるMicrosoft Graph)もAIを用いた機能だが、RS4ではAI機能の連携とWindows Mixed Realityデバイスを持ちいたMR機能の強化を図るのではないだろうか。

阿久津良和(Cactus)