やっと復活した「OneDrive Files On-Demand」

Windows 8.1のOneDriveはOS統合を実現すると同時に、クラウド上のファイルが必要なった場面でダウンロードし、普段はストレージ容量をひっ迫しない「プレースホルダー」という機能を備えていた。ところがMicrosoftは、Windows 10は同期フォルダーの取捨選択が可能になることなどを理由に、プレースホルダー機能を廃止している。一部のユーザーは不便を強いられることとなったが、2017年5月開催の開発者向けカンファレンス「Build 2017」でMicrosoftは、同機能が「OneDrive Files On-Demand」として復活することを明らかにした。

OneDrive Files On-Demandはプレースホルダーと類似し、ファイルおよびフォルダーのコンテキストメニューには、<このデバイス上で常に保持する><空き容量を増やす>という2項目が加わり、それぞれ「ファイルのダウンロード」「ファイル(データ)の削除」というアクションを実行する。また、ファイルがオンラインのみなのかオンライン&オフラインなのかといった状況を示す項目「状態」が加わり、PCのストレージ容量に応じて普段持ち歩くファイルや、必要な場合にダウンロードするファイルの取捨選択が可能だ。

上からオンラインのみのファイル、ローカルで利用可能なファイル、常に利用可能なファイル、同期中のファイルを指す

ファイルの同期中には通知が示される

これらの設定は通知領域に並ぶOneDriveのプロパティダイアログから行う。例えばストレージ容量を気にする必要がないデスクトップPCの場合は、OneDrive Files On-Demand機能を無効に。2-in-1 PCは有効にすることで、ストレージ容量の空きを気にする必要がなくなる。一見すると使い勝手が悪くなりそうだが、インターネット接続状態であれば、特に気にする必要はない。画像ファイルはサムネイルを表示し、アプリケーションで編集する際はダウンロード後に操作できる。

ダイアログの<設定>タブに並ぶ<容量を節約し、ファイルを使用する時にダウンロード>のチェックを外せば、OneDrive Files On-Demandを無効にできる

こちらはOneDrive Files On-Demandを無効にしたPCのピクチャフォルダー。列から「状態」が取り除かれる

状態が「オンラインのみ」でも、サムネイルは表示される

つまり、OneDrive Files On-Demandは、OneDrive.com上にあるファイルをPCに保存するか否かの選択が可能になる仕組みと理解すればよい。そのため、ファイルを「オンラインのみ」に変更してもOneDrive.comから削除されることはないが、PC初心者向けに配慮するため、ファイルやフォルダーを削除する場合は、警告メッセージを発するようになった。下図をご覧になると分かるように、警告メッセージを抑止する設定も用意しているので、操作性が低下することはない。

OneDriveフォルダー上のファイルやファイルを削除する際は、警告メッセージを発するようになった。メッセージを非表示にする場合は、<今後、このメッセージを表示しない>にチェックを入れればよい

OneDrive Files On-Demandを使う上で注意すべきは、事前にインデックスを作成して検索速度を速めるデスクトップサーチの扱いだ。インデックス作成機能は"そこにあるファイルの内容やメタ情報をデータベース化"しているため、「オンラインのみ」のファイルに対する検索はファイル名のみ。<プロパティとファイルのコンテンツのインデックスを作成する>を選択しても、検索対象とはならないようだ。

「インデックスのオプション」の詳細オプションダイアログから<ファイルの種類>タブを開き、任意の拡張子を持つファイルに対して、インデックス作成対象範囲を選択できるが、「オンラインのみ」の場合、検索できるのはファイルのプロパティに限られる

筆者が体験した例を1つ紹介しよう。喫茶店でとある原稿を執筆している際、資料となるPowerPointファイルを検索しても、仕事場のデスクトップPCと異なる検索結果が示される。当初はインデックスデータの破損を疑い、再構築を試してみたが結果は一緒だった。その時は考えも及ばなかったが、インデックス作成機能のロジックを鑑みれば、バイナリデータが存在しないファイルの内容をインデックス化できないのは至極当たり前である。

なお、Windows 10 バージョン1709で発生するか予測できないが、Windows 10 Insider PreviewでOneDrive Files On-Demandを使用していたところ、インデックスデータ数に問題はなく、OneDrive Files On-Demandを無効にしてもデスクトップサーチの結果がゼロになる症状に出くわした。OneDriveフォルダーの所有者変更や、インデックスデータの再構築などを経て正しく動作することを確認しているが、もし読者諸氏がトラブルに見舞われた際は、これらの操作を試してみるといいだろう。