バージョン1709で削除・非推奨となる機能

Microsoftが用意したWebページでは、Windows 10 バージョン1709で削除もしくは非推奨となる機能を明示している。

まず、削除される機能やアプリケーションを列挙しよう。「3D Builder」「Apndatabase.xml」「EMET(Enhanced Mitigation Experience Toolkit)」「Outlook Express」「リーダー」、Microsoft Edgeの「リーディングリスト」「ReFS(Resilient File System)」「テーマ」のスクリーンセーバーサポート、「SysKey.exe」「TOE(TCP Offload Engine)」が対象となる。

次に非推奨となる機能やアプリケーションだが、「IIS 6管理互換」「ダイジェスト認証」「RSA/AES暗号化」「TLS RC4暗号」「TPMの管理」「TPMリモート管理」「SCCM(System Center Configuration Manager)用Windows Hello for Businessの展開」、設定の「同期」「ペイント」が対象だ。

各機能の個別情報に関しては以前の記事をご覧頂くとして、冒頭で紹介したWebページは2017年7月の時点で公開されているが、「ReFS」と設定の「同期」に関しては2017年8月17日の時点で追記された。まずReFSはNTFSに置き換わるファイルシステムとしてはWindows Server 2012から実装し、コンシューマーOSであるWindows 8.1やWindows 10でも利用可能だったため、ご存じの方も少なくないだろう。だが、ワークステーションPC向けエディションとなるWindows 10 Pro for WorkstationsとWindows 10 Enterpriseでのみ利用可能となる。

Windows 10 Pro for Workstationsの特徴

上図でも説明しているとおりWindows 10 Pro for Workstationsは、ReFS、不揮発性メモリモジュール(NVDIMM-N)、SMBダイレクトのサポートと、最大4プロセッサに対応している。Microsoftは「急速な技術革新の世界で、パフォーマンスは重要なので、本エディションを用意した」と説明していた。ReFSは既にバージョン3.2に達し、Windows 10 バージョン1709でもマイナーアップデートされる(Windows 10 Insider Previewで確認した限りは、バージョン3.3だった)はずのため、期待をしていたのだが、エディションの差別化を生み出すため、同社は今回の判断に至っている。

Windows 10 バージョン1703のReFSはバージョン3.2だった

将来的な廃止予定に並ぶ設定の「同期」は、これまでクライアントOSとエンタープライズOSで異なるロジックを使っていたようだ。Microsoftは「すべてのユーザーが設定同期に用いるクラウドストレージを統一する」ことを理由に、実装方法の見直しを図るという。

Windows 10 バージョン1709では、「設定」の<アカウント/設定の同期>は残っているが、次のバージョン1803では取り除かれるかも知れない

今回の仕様変更でエンドユーザーが1番困るのは、将来的な廃止予定に「システムイメージバックアップ」が加わった点ではないだろうか。振り返れば、Windowsが長年実装してきた本機能は、サードパーティー製バックアップソフトをMicrosoftが買収し、VHD形式への対応など自社拡張を重ねてきたが、その進化はWindows 7で止まってしまった。Windows 8.xではシステムイメージバックアップ機能を廃止し、Windows 10では復活させたものの、「バックアップと復元(Windows 7)」と"Windows 10に対応していない"ことを暗に示している。

Windows 10 バージョン1709でも「バックアップと復元」は残るが、利用は推奨されない

筆者もWindows 10のファーストバージョンから、システムイメージバックアップを何度か試してきたが、一部のデータに対するアクセス権などを理由にイメージファイル作成に失敗するなど、首を傾げる場面が少なくなかった。しかし、Windows 10のライセンス認証はMicrosoftアカウントに紐付けされ、OSを初期状態に戻すのも容易になった。このような理由からMicrosoftはイメージファイルでバックアップを管理するという、これまでのやり方が古いと判断し、非推奨を選択したのだろう。ただし、クラウド時代でもシステムイメージを作成するバックアップ・復元ソリューションの利便性を我々は知っている。同社が推奨するように、サードパーティー製バックアップアプリケーションの準備をお薦めしたい。

「設定」の<更新とセキュリティ/回復>から、Windows 10を初期状態に戻し、ライセンス認証もMicrosoftアカウントと紐付くため、Microsoftはシステムイメージファイルを用いた復元ソリューションは古いという判断を下した