続いてソフトバンク内でのAI/RPAプロジェクトとして、3つのプロジェクトを紹介。1つ目のネットワーク保守関連ではWatsonの自然言語分類(NLC)を使って、システム異常の警告が表示されてから対応までの時間を23分から2.5分へと、約10分の1に短縮。AIを採用するメリットとして、人間とは違って常に冷静な判断が下せることや柔軟性の高さを挙げ、今後は対応手順の提示までを実現したいとした。
2つ目の人事関連プロジェクトでは、大量に送られる新卒学生からのエントリーシート(ES)の評価判定をWatsonのNLCを使って行い、これまですべて人が判定して680時間かかっていたものが、AIの活用で170時間へと、75%もの削減に成功した事例を紹介。このプロジェクトでは、学習時に一度にすべてのデータを入力しても思い通りの結果が得られず、読み込ませるデータを分解したり結合するなどしてトライ&エラーを繰り返し、ようやく希望の結果が得られたことを紹介。まずは使ってみて課題を発見し、トライ&エラーを繰り返して検証することの重要性と、AIといえど完全ではないため、人間が運用面でカバーすることの重要性を指摘していた。
3つ目はソフトバンク コマース&サービスでの事例で、見積り依頼メールへの返事を作成する際にAIがメールを読み取って見積書を自動作成するシステムを作成した事例を紹介。このプロジェクトではAIの開発経験がない3人が開発に携わり、平均して15分程度かかっていた見積り書の送信が、わずか3秒程度へと短縮。会社全体では46200時間が150時間へと、実に99%もの時間を削減できたとした。
このようにAIやRPA活用のポイントとしては、現場での試行錯誤が成功を生み出すとし、その業務に精通しており、ロジカルな思考ができる人材がいれば、現場でのコラボレーションでアイデアを形にできることをアピールしていた。
そしてAI/RPA導入の初期コストを下げるため、8月1日からWatson on IBM Cloudの販売をスタートすることを紹介。すでに利用できる6APIが150へと大幅に拡張され、導入コストも初期費用と開発費用で数十万円ずつと、低コストに抑えられるとした。
また、ソフトバンクの成長戦略のキーも新技術であると紹介。ソフトバンク自体のコア事業はモバイル通信であるが、それだけに頼るわけではなく、AI、IoT、ロボットなどさまざまなジャンルに投資していることをアピール。そしてIoTとRPA、AIの組み合わせでデータを活用するべく、ソフトバンクでも各分野に対応したIoTプラットフォームを提供することを発表した。