ギャバンTypeGのレーザーブレードを折り、デカマスターやデカブレイクの攻撃を一撃で退けるマッドギャランの圧倒的な強さが本作の大きなポイント。その声を演じた春田は、「出来上がった映像を観ながらアフレコをするんですが、すでにギャバンの石垣くんのほうは終わっていて、そこに僕の声を入れていく形になりました。これがちょっとやりにくかったかな」と裏話を披露した後、「映像ではマッドギャランのアクションがすごいので、声もそれに合わせて強く出さないといけないと思い、ずーっと叫んでいました。だから終わったら声が枯れましたね~。ガラスのノドですから」と、戦闘時のかけ声を発することの大変さを語った。

この話を受けて、アフレコスタジオに同席していたという大葉は「僕らはアクションシーンがどれだけあるか分かっていますから、(春田が)テストの段階で最初からあんなに大きな声出して、大丈夫かなと思った」と心配していたことを明かすと、春田は「常に一生懸命頑張ってやるタイプですから! みなさんが魂を込めて作っているんで、私も魂を入れないとね!」と、役にかける強い意気込みを笑顔でアピールしていた。

そんな春田と大葉は、共に10代のころからJACメンバーとして多くのテレビドラマや映画、舞台に参加していた。入門は春田のほうがやや早く(1970年1月)、その8か月後(1970年9月)に大葉が入ってきたそうだ。春田は「最初の出会い、覚えていますよ。当時はメンバー何人かでアパート暮らしだったんですけれど、『キイハンター』のロケで行っていた三宅島から帰ってきたら、部屋に健二がいたんです。頭チリチリでね(笑)」と、大葉が入門してきたときのことを懐かしそうに回想した。

同じ年齢である春田と大葉は、共に若きスタントマン、アクション俳優として切磋琢磨しながら映画やテレビなどで活躍していたが、意外なことに映像での共演となると非常に少なかったという。春田は「舞台などでは一緒に出たことがあったけれど、テレビ一緒の画面に出たのは、『超人機メタルダー』くらいかな。僕は飲食店のマスター役だった」と、『超人機メタルダー』(1987年)の第25話「とびだせ!ジャック電撃応援団」第26話「ぶっちぎり!炎のジャック野郎」でのゲスト出演を回想。「あれ以来、共演はないよね?」と春田が問うと、大葉は「撮影は一緒ではなかったけれど、『199ヒーロー大決戦』で一緒だったね」と、歴代35スーパー戦隊が総出演を果たした映画『199ヒーロー大決戦』での"イメージ映像での共演"について触れていた。

大葉が『宇宙刑事ギャバン』で主演を務めていた同じ時期、春田は『大戦隊ゴーグルV』でゴーグルブラックを演じていた。『ギャバン』では大葉が危険なスタントもこなして大活躍していたのと同様に、春田演じる黒田官平が変身不能になって敵の攻撃から逃げ、兵隊と戦いまくる「ブラック編」というべきエピソードがいくつか作られ、子どもだけでなく目の肥えたアクション映画ファンをもうならせる活躍を見せていた。