AppleはClipsを発表した3月21日に、iPad(第5世代)をリリースした。このiPadは本連載でもお伝えしたとおり、これまでの薄型、軽量を推し進めるiPad Airシリーズではなく、ただ「iPad」と名乗る製品だ。
筐体は初代iPad Airを軽微に改良しただけで、iPad Air 2から厚く重くなっている。ただ、厚みと重さの分、バッテリー搭載量は大幅に増えた。そのこともiPadが、より電池が長持ちし、よりタフな設計に戻され、教育活用を意識していることを裏付ける。
AppleがClipsを、教育市場を意識したiPadのリリースに重ねたのは無関係ではなかっただろう。Appleは、教育向けのプロモーションを行うApple EducationのTwitterアカウント(@AppleEDU)で、早速Clipsの教育活用について触れた。
AppleはApple Teacherを通じた教室内でのiPad・Mac活用においても、iMovieを用いてレポート作成を促すなど、ビデオを積極的に取り入れる姿勢を打ち出している。Clipsは、生徒にとって、より身近で手軽なビデオツールになる。
同時に、Clipsのビデオによる教材作りの可能性にも触れている。ビデオでの授業というと、黒板の前で一方的に喋る、という退屈なイメージも強いが、Clipsによるビデオ作成は、よりライブ感あふれる教材作りにつながることになる。
ここでも、生徒たちの世代のビデオに対するイメージや感覚に、教員が合わせることができるツールとして作用することが期待できる。
松村太郎(まつむらたろう)
1980年生まれ・米国カリフォルニア州バークレー在住のジャーナリスト・著者。慶應義塾大学政策・メディア研究科修士課程修了。慶應義塾大学SFC研究所上席所員(訪問)、キャスタリア株式会社取締役研究責任者、ビジネス・ブレークスルー大学講師。近著に「LinkedInスタートブック」(日経BP刊)、「スマートフォン新時代」(NTT出版刊)、「ソーシャルラーニング入門」(日経BP刊)など。ウェブサイトはこちら / Twitter @taromatsumura