もうひとつ、開発チームがこだわったのが、LIFEBOOK UH75/B1で採用した基板である。SHシリーズに比べると、基板面積は約2割削減。さらに、インターフェース関連はすべてメインボードに搭載し、サブボードをなくしたことも軽量化につながっているという。
「小型部品を多用したり、基板に穴を開けることで軽量したりといった取り組みのほか、従来技術を活用しながらも、配線のピッチを極限まで狭くするといった挑戦も行った」(河野マネージャー)。基板重量では、従来モデルに比べて15gもの軽量化を実現している。
また、筐体内のレイアウトも大幅に見直している。SHシリーズに比べると、光学ディスクドライブとハードディスクが省かれ、ストレージは128GBのSSDを搭載。その分、軽量化できるが、その一方で、重量増となるインターフェースを左右に設けることにはこだわった。
たとえば、LIFEBOOK UH75/B1では、最もよく利用されるUSBインターフェースを左右に配置している。「インターフェースは片側に配置した方が基板もシンプルになり、軽量化にも寄与する。しかし、利用者の利便性を考え、開発当初から左右に振り分けることを考えていた」(安藤マネージャー)とする。
有線LANポートは「譲れない要素」、社内でも議論に
さらに、有線LANのポートを用意しているのも大きなこだわりだ。
「薄さを実現するため、引き出して上方向からケーブルを差し込むというコネクタを採用したが、このパーツだけで7gの重量増。これがなければさらに軽量化できるが、ユーザーの利用環境を考えると、そこは譲れない要素だった」(安藤マネージャー)という。
実は、社内では開発途中、何度も有線LANポートの搭載の有無について議論した。掲げた目標値を達成するためには、この7gの部品を取ることが最も手っ取り早い判断だったからだ。だが、最後の最後まで開発チームは、この部品を残すことにこだわった。
この判断は正解だった。「LIFEBOOK UH75/B1の発売以降、有線LANポートが使える軽量モバイルPCであることを評価する声が出ている。地方都市のビジネスホテルでは、まだ無線LANが利用できないケースもある。どこでも持ち運べるモバイルPCとして、有線LANポートの搭載は必須だった」(安藤マネージャー)からだ。
また、表に見えない工夫として、企業での利用を想定し、様々なカスタマイズに対応できる構造としている点も見逃せない。Windows Helloに対応した指紋認証の標準搭載に加え、スマートカードでの認証やLTEにもカスタマイズで対応。「SHシリーズで提供しているカスタマイズサービスは、すべて利用できるようにしている」(安藤マネージャー)という。