3つめのポイントとなるキーボードでは、底面フレームを薄型化した。その一方で、キーボードの裏側に穴を開け、72本のネジで固定。これによって、強度とキータッチ時の剛性を実現したという。

「従来製品では多くても10本程度のネジで固定していたが、今回は薄いフレームに72本のネジで固定することで、強度を実現した。ネジそのものの重量は、全部で2g程度の増加。しかしキーボードを受けるカバーが不要になったり、それを張り付けるための樹脂部品が必要になったりするなど、トータルでは軽量化できる仕組みである」(石川マネージャー)。

キーボードの試作パーツ。側面およびキーの合間合間に、多数のネジ穴が設けられている

キーボード面と底面カバーはマグネシウム薄肉成形を取り入れ、さらに0.2mmにまで薄型化したアルミのサポートパネルを採用。これらも軽量化に寄与している。

他社でも同様の仕組みを採用している例があるが、その際には100本以上のネジを使用しているケースが多いという。富士通クライアントコンピューティングでは、何度もシミュレーションを行うことで、適切なネジ締めの場所を導きだし、ネジ本数を最低限にしながらも、同社の基準とする剛性を実現した。

「キーボードを小さくすると軽くできたり、打鍵感を少し犠牲にすれば軽くできることはわかっていた。だが、SHシリーズと同じキーキャップを使い、打鍵感にも妥協しなかった」(安藤マネージャー)と自信をみせる。

このように開発チームは、軽量化と剛性を両立させながら同社のノウハウを活用し、液晶、バッテリ、キーボードという重要部品のひとつひとつに改良を加えていったのだ。