「この領域において我々はチャレンジャー。だからこそ、競合他社に負けない世界最軽量のモバイルPCを開発した」――。
富士通クライアントコンピューティングが発売した「LIFEBOOK UH75/B1」は、13.3型液晶ディスプレイを搭載したノートPCとして世界最軽量を実現した製品だ。
13型モバイルノートPCの領域においては、NECパーソナルコンピュータの「LAVIE Hybrid ZERO」が先行し、前身となるLaVie Z時代から、世界最軽量の座を欲しいままにしてきた。その領域に、富士通クライアントコンピューティングが満を持して挑んだのが「LIFEBOOK UH75/B1」というわけだ。
「モバイルPC」の開発コンセプトを根本から見直し
2017年1月17日の製品発表時点では777gとして世界最軽量を発表していたが、同社が「富士通の日」と呼ぶ2月22日に、「LIFEBOOK UH75/B1」の生産拠点である島根富士通で開催したプレスイベントで、「本格量産を開始した約300台の平均値では761g」と発表。異例ともいえる重量の下方修正を行って、世界最軽量であることを改めて訴えてみせた。
富士通クライアントコンピューティング事業本部プロダクト企画統括部第一プロダクト部の安藤賢一マネージャーは、「これまでの富士通のモバイルPCの基本的な考え方は、1台のなかにすべての機能を盛り込み、どこに行っても不自由しない環境を実現するというものであった。いわばオフィスのデスク環境と、同じ環境を実現するモバイルPCが、富士通の価値であった」とする。
富士通クライアントコンピューティング 事業本部法人モバイル事業部第三技術部の石川雅紀マネージャーも、「富士通のモバイルPCの価値を機能や性能に求めるなかで、軽さという切り口が、汎用的なモバイルPCの要件になるのか。ユーザーに納得してもらえる価格設定を実現するため、コスト面での課題は解決できるのかといった疑問があった。軽さの追求は、長年に渡って自問自答してきたことであった」と異口同音に語る。
富士通クライアントコンピューティング 事業本部法人モバイル事業部第三技術部の石川雅紀マネージャー |
富士通クライアントコンピューティング 事業本部プロダクト企画統括部第一プロダクト部の安藤賢一マネージャー |
1台でオールマイティに利用できるモバイルPCを開発の最優先テーマにしてきた富士通にとって、それとはトレードオフになる「軽さ」は、長年、犠牲にせざるを得なかった要素だったともいえる。そして、軽さを徹底的に追求するということは、富士通のモバイルPCの開発コンセプトそのものを見直すことにもつながる。
その富士通クライアントコンピューティングは、なぜ、ここにきて、軽量モバイルPCの開発に踏み出したのだろうか。
その背景には、見逃せないユーザーニーズの変化がある。