筆者はビデオに関しては、iPhoneを主として利用すれば良いのではないか、という結論に至った。その理由は4Kビデオの撮影と編集が容易であることを挙げた。そこには、iPhoneで4Kビデオを撮影しておくメリットが存在しているからだ。
筆者はイベントのレポートやレビュー、インタビューなどで動画を用いることがある。特に撮影に苦戦するのはインタビューだ。人の話をしっかりと記録したい一方で、ずっとその人を狙ってカメラを固定しっぱなしにしておくのでは退屈してしまう。
テレビを含む様々なビデオを見てみると、インタビューでは、バストアップの映像、顔にクローズアップした映像、そして参考資料やイメージ映像などの3つの素材が使われることが多い。米国で放送されているものをみると、2-3秒で画面を切り替えて、退屈した印象を与えないよう配慮されていることに気づく。
資料やイメージ映像は別に用意するとして、インタビュー中でも、ワイドに映すビデオと、ズームして映すビデオの2種類が必要となり、つまりは同時に2台のカメラで録画しておかなければならない、ということだ。しかし、ひとりで、しかもイベント会場の場合は立ちながら取材する機会が多い筆者にとって、これはなかなかハードルが高い。
そこで4Kビデオだ。
iPhoneで撮影できる4Kビデオは、3840×2160ピクセル、秒間30フレームというスペックだ。つまり、フルHDの解像度である1920×1080ピクセルを4つ敷き詰めた映像を撮影していることになる。
もしYouTubeなどにビデオを公開する際、4K解像度ではなくフルHDや、さらに小さい1280×720ピクセルのHD動画で良い、ということであれば、どういう使い方が考えられるだろうか。撮影済みの4Kビデオを編集の際に4倍まで拡大しても、映像の品質を損なわない。また、拡大した上でビデオのフレームをずらしていけば、固定したカメラの映像でも、上下左右にカメラを振っている効果を出すこともできる。
さて、先ほどのインタビュービデオの編集の話に戻ろう。
三脚などでiPhoneを固定して、バストアップで4Kビデオを撮影しておけば、バストアップの映像はもちろん、顔にクローズアップしたフルHDの映像を取り出すこともできるようになる。つまり、カメラ1台で、2つのカメラで記録しなければならなかった映像を残しておくことができるのだ。
もちろん、正面からの映像だけではズームアップしても変化がつかないため、フレームをずらしたり、話題が変わるときにカメラの位置を左右に少しずらすなどの工夫も必要である。ノウハウはもう少し欲しいところだが、インタビューのビデオをiPhone1台で取れるようになるメリットはとても大きかったのだ。