Paperは指や一般的なスタイラスでももちろん描画できるが、Pencilを用いることで描画機能の表現力が広がる。そのひとつは、面タッチへの対応だ。Pencilを大きく傾け、ペン先が面で触れるようにすると、立てて描いたものとは異なるタッチが現れる。塗り絵や白地図で、色鉛筆を斜めにして広い面を塗った覚えはないだろうか。Pencilでは鉛筆ツールでその塗り方が再現できるのだ。

ペンを寝かせると異なるタッチで描くことができる

ツール別に、上段が立てて描いたもの。中・下段が寝かせて描いたもの

もう一つは、指がブレンド(ぼかし)ツールになること。Pencilを接続すると、通常はパームリジェクションが機能し手や指が触れても反応しない状態になる。だが、描画された部分に指で触れると、触れた部分が画像加工ソフトなどでいう"ぼかし"をかけた状態になる。実際に紙や絵の具を使っていても、筆で描いた後を指でこすって馴染ませたりぼかしたりすることがあり、Paperのアナログ風な使い勝手というコンセプトに合った機能だと言える。

画面上で色を馴染ませたり、遠景をぼかすといった表現に活用できる

3つ目は、Pencilの背のほうを消しゴムツールとして使えることだ。ワコムのペンタブレットを使っている人には、これはお馴染み。実際の筆記具でも、シャープペンシルや消えるボールペンを使い慣れている人にとっても、直感的な使い勝手と言えるだろう。パレットを表示させてツールを持ち替える手間がないのが何よりの利点だ。

スタイラスの背中側のゴムは消しゴムとして機能