AppleがiPhoneへのNFC採用とモバイルペイメント市場参入の可能性
現在iPhone関連で最もホットなトピックがこれだ。ここ2週間ほどで急に情報が出てきたもので、正式発表を直前にして既成事実として積み上がりつつある。iPhoneとiWatchでのNFC採用とペアリング機能搭載に関する話題はつい先日もレポートしたが、「NFC採用」という可能性が非常に濃厚になってきたことで、モバイルペイメント市場参入に関するAppleの考えがある程度見えてきた。
NFC搭載の噂は何段階かにわたって出てきた。最初の具体的なものはAmerican Express、MasterCard、Visaとの提携話で、この時点ではまだ「支払い方式不明」の「モバイルペイメント参入の布石」程度にしかみられていなかった。
だが、同時期には噂話でNFC搭載の話が語られるようになり、さらに流出パーツからNXP Semiconductors製のNFCコントローラ搭載の話が出てきたことも合わせ、かなり可能性が高くなってきたといえる。
もっとも、クレジットカード会社がAppleのような有力なベンダーとの提携に乗るのは不思議な話ではないし、カード会社にとっても断る理由はない。ただ、この時点では「従来型のリアル小売店舗での決済に対応」という話が出ても、実際に提携相手となる店舗の話題が出てこないため、筆者としては「実際のサービス展開は来年以降」という風に考えていた。
話として急展開したのはBank Innovation関連のレポートが出てからだ。まず百貨店のNordstromがAppleとの提携を進めているという報道が同誌によって行われ、次いでRe/codeがWalgreensとCVSらがAppleとの提携を進めているという話を報じた。
Bank InnovationはAppleが大手銀行らとの交渉で手数料の大幅な引き下げ交渉を行っているという話も同時期に報じており、交渉はかなり詰めの段階に入っている印象を受ける。交渉以外の部分では、Apple StoreとDisney StoreがiBeaconならびにNFCスキャナを一新し、iBeaconとNFCを絡めたiPhoneの新しい仕組みへの対応を進めているという話がある。また決済の安全性を高める技術として「トークナイゼーション(Tokenization)」を採用するという話もあり、実装面での具体的な姿が見えつつある。