Ultrabook化したが基本的な設計思想はクラシックThinkPadを受け継ぐ
さて、冒頭で述べたようにThinkPad X240は、「s」が付かない無印のXシリーズとしては初のUltrabookだ。Ultrabookといえばやはり薄さや軽さを期待するところだが、ほかのモデルよりも伝統的なThinkPadのイメージを色濃く残しているためか、パッと見た印象はそこまで薄くないし、そこまで軽くない。
ただ、後部が厚くて先端に向って薄くなるデザインのX230と比べ、X240では、リアバッテリーに3セルバッテリーを使用した場合に全体がフラットとなるため、最厚部で比べると実際のところ薄くなってはいる。かばんへの収まりも良くなった。とはいえ、最近のUltrabook、例えば同じThinkPadブランドのX240sやYogaといったUltrabookでは薄さが20mmを切るところ、X240では20mmを切れなかった。
質量は約1.47kgとX230の約1.5kgから300gほど軽量化された。普段Tシリーズを使用している身からすれば軽いのだが、Xシリーズ特有のぎゅっと詰まったイメージによる"重み"は感じるし、軽量に特化したUltrabookと比べると分が悪いことはいなめない。
このようにX240は、Ultrabookに対してとにかく薄さや軽さを求める人には向いていない製品といえる。ただ、頻繁に持ち運びをするモバイル用途を考えると、薄さや軽さと同じくらい重要なポイントがいくつかある。
例えば堅牢性。ThinkPad X240でももちろん、ThinkPadシリーズでおなじみの角落下試験や加圧振動試験といったモバイル時に想定されるアクシデントを想定した試験から、普段使いにおける液晶ディスプレイの開閉試験やLCDストレステストなど、受け継がれてきた厳しい品質テストが課せられ、それをクリアする設計となっている。
持ち歩くことが多いUltrabookだからこそ、堅牢であってほしいというニーズは存在するだろう。堅牢であることを維持しつつ、従来モデルよりも薄く軽くなることは、従来のXシリーズを使うユーザーからすればメリットだろう。
解像度やタッチの有無が柔軟に選択できるディスプレイ
液晶ディスプレイは、Xシリーズ伝統の1366×768ドットの低解像度パネルのほか、先日より1920×1080ドットの高解像度パネルも直販モデルで選択可能となった。もちろん光沢なし仕様だ。なお、1,366×768ドット/1,920×1,080ドットとも、タッチの対応可否が選択できるほか、1,920×1,080ドットパネルはIPS、1366×768ドットでもIPSか非IPSかを選択できる。このように、コストや解像度、視野角とパネルの選択肢は多い。
ただ、ほかのモデルと比べると、X240のパネルオプション価格はやや高めに設定されている。おそらくは、ベースとなる1,366×768ドット非IPS非タッチパネルがそもそも激安なのだろうと思う。相対的に高価と捉えてしまうかもしれないところは少々惜しい。
ちなみに、Windowsのフォントサイズ設定が標準で最大となっていた。そのため、最初は1,920×1,080ドットパネルだと気付かなかったくらいだ。高解像度パネルであっても、こうした仕組みにより、文字が小さいと感じる方は減ってきただろう。
むしろ、高解像度パネルの方が、フォントのエッジがスムーズに見えるため、読みやすいと感じられる。一方、高解像度パネルを生かし、情報量を増やしたい方は、フォントサイズを設定し直す必要がある。