まとめ:より鮮明となった「ハードウェアメーカー、Apple」としての体験作り
新型iPadの発表前に、ティム・クック氏は、iPadが1億7000万台を販売したことを発表した。同時に、タブレット市場でのユーザー利用率が81%であるという数字を示し、どれだけ販売したかよりも、人々がどんな体験をするかが重要であることを強調している。iPadが好まれている理由について、ハードウェア、ソフトウエア、アプリ、そしてサービスが統合されている点であり、他のデバイスにはないという。
プレゼンテーションの最後にクック氏は、こうした製品群はAppleにしか届けることができないと締めくくった。iPhone 5sで発表されたA7プロセッサを最大限に活用した今回のiPadラインアップは、タブレット市場での競争力を非常に高まることができたが、あまりに驚きがないほどのシンプルな施策だったともいえる。
Appleは、iPadを、ユーザーのコンピューティングの中心に持って行こうというアイディアだ。1人1台が常に持ち歩くデバイスにデスクトップ並みの性能を備え、数多くのアプリとクラウドサービスによって統合していくことによる、より長期の定着と囲い込みを実現しようとしている。
そのためには、Appleがしばしば利用してきた驚きによる魅力ではなく、より実を伴う「体験」が重要だ。アプリ群を無料で提供することも、はやくその定着する体験を得てもらうために有効だろう。
10月25日にはiPhone 5s/5cの10日間の売上を含むAppleの2013年第4四半期決算を迎える。ホリデーシーズンに向けて、株価も500ドル台を回復し、今回のiPadのラインアップとともに、明るい材料を提供できるかどうか、注目していきたい。