iLife/iWork:iOS・Mavericks向けの再デザインとクラウドワークの導入
先月行われたiPhoneの発表イベントで、Appleは写真編集のiPhoto・ビデオ編集のiMovieのiLifeアプリ、ワープロのPages・表計算のNumbers・プレゼンテーションのKeynoteのiWorkアプリを、2013年9月以降にiPhoneを購入したユーザーに対して無料でダウンロードできるようにすると発表した。今回同じ対応をMacに対しても行い、新たなMacを購入したユーザーに無料で提供される。
写真管理アプリiPhotoは、iPad上でフォトブックを作成することができるようになった。ライブラリにある写真を選んで配置し、オーダーするだけで手元にフォトブックが届く仕組みで、日本でも利用できる機能だ。またビデオ編集アプリのiMovieでは、iPadでも映像の上に映像を重ねるピクチャー・イン・ピクチャーに対応した他、iMovie Theater機能では、自分で作成したビデオをiCloudを介してどのデバイスでも共有できる機能を搭載した。
音楽制作GarageBandでは扱うことができるトラック数が64ビットのiPad/iPhone上で32トラックに増加している。Mac版GarageBandでは、演奏内容に合わせて自動的にドラムトラックを作成・調整することができる「Drummer」機能が搭載された。特にiOS向けでは64ビットデバイスでの機能向上が非常に目立つ。
生産性アプリのiWorkのアップデートも行われた。Mac向けのiWorkアプリでは、コンテクストに合わせて編集パネルが変更されるなど、使いやすさの向上が目立つ。また、今回のプレゼンテーションでも利用されていた新しいKeynoteでは、トランジションに新しいアニメーションが加わったり、各アニメーションがよりリアルな物理モデルで動作するようになった。
iWork/iLifeいずれも、iCloud上でのデータ共有が可能で、どのデバイスにおいても、同じドキュメントやファイルを同じように開くことができるようになった。同時に、文書をiCloudで開き、他のユーザーを誘うと、共同編集を行うことができるようになった。片方のブラウザで編集すると、コラボレーションしている相手の画面でもその結果が瞬時に反映されるデモを披露している。
コンテンツ作成や生産性のアプリを無料で公開する点も、前述のOSと同様、いかにAppleのハードウェアを活用するか、その体験を作り出すかにフォーカスした施策といえる。特にMicrosoftのOffice 365やAdobe Creative Cloudなど業界標準の生産性やクリエイティブソフトウエアが購読制での利用となっている中で、アプリ無料、iCloudは5GBまで無料というAppleの施策は、ライトユーザーを大きく取り込み、体験をより身近にする効果をもたらすだろう。
アプリのプレゼンテーションに立ったエディー・キュー氏は、「ゲーム・チェンジャーだ」と指摘しているが、そもそも他のソフトウエア企業とは違うゲームをプレイしているように感じられる。