消費電力(グラフ158~167)
性能評価が一段落したところで、最後は消費電力である。まずグラフ158がSandra 2012のDhrystone&Whetstoneの実効消費電力、グラフ159が実効消費電力差となる。グラフ159における、DhrystoneとWhetstone処理時の消費電力差はそれぞれ、
Dhrystone | Whetstone | |
---|---|---|
Core i7-2700K | 98.1W | 87.5W |
Core i7-3770K | 61.7W | 54.4W |
であり、先のグラフ105の時に比べるとやや差が縮んでいるのは、内蔵GPUを使っている関係も多少あるのかもしれない。とはいえ、確実に30W以上の省電力化が図られている事が判る。
次は3Dであるが、3DMark 11だとCore i7-2700Kで実施出来ないため、こちらは3DMark VantageのGame Test 1/2をXtreme Profileで実施してみた。実効消費電力はグラフ160、無負荷時との差をとったものがグラフ161であるが、あまりに値が激しく変動しすぎていて、どこが切れ目か判らない。そこでGame Test 1の開始からGame Test 2の終了までをまとめて平均を取ると、
Core i7-2700K | 41.5W |
---|---|
Core i7-3770K | 26.8W |
となった。さすがに半分とは言わないまでも、Core i7-2700Kの6割強の消費電力で倍近いフレームレートを実現している計算になり、Core i7-3770KのGPUの効率の良さが改めて確認できたことになる。
最後はエンコードであるが、今回は、
(1) MainConcept Reference 2.20+H.264/AVC Proで、H.264の1Pass
(2) TMPGEnc Video Mastering Works 5 H.264/AVCで、Intel QSV H/WでのEncode
(3) TMPGEnc Video Mastering Works 5 H.264/AVCで、Intel QSV S/WでのEncode
(4) TMPGEnc Video Mastering Works 5 H.264/AVCで、x264でのEncode
の4つをまとめて行ってみた。グラフ162が実効消費電力、グラフ163が実効消費電力差となる。
この4つについて、それぞれ平均値を取ると、
(1) | (2) | (3) | (4) | |
---|---|---|---|---|
Core i7-2700K | 93.6W | 58.2W | 34.0W | 101.2W |
Core i7-3770K | 60.8W | 38.4W | 27.2W | 67.9W |
といった結果となった。CPUでのエンコードを行う(1)、(3)、(4)でそれぞれ消費電力が大きく下がるのは当然として、Intel QSV H/Wを利用する(2)のケースでも20Wほどの消費電力削減があるのはかなり優秀と考えて良いだろう。
ところでここまでは、無負荷時と稼動時の実効消費電力の差という形で数字を出してきたが、では絶対値としてどの程度なのか? がちょっとわかり難い。そこで、もう一回Sandra 2012のDhrystone/Whetstoneを実施してみた。
今回のマザーボードはどちらも、有効に出来るコアの数を1~4つまで選択できる。これを利用し、有効となるコアの数を変えながらDhrystone/Whetstoneを実施、それぞれの実効消費電力を測定してみた。またHyper-Threadingの有無も切り替えてみた。ちなみにこのテスト中はTurbo BoostはDisableとしている。つまりCore i7-2700KとCore i7-3500Kがどちらも3.5GHzで動いている形だ。この際の実効消費電力変動をプロットしたのがグラフ164(Core i7-2700K)とグラフ165(Core i7-3770K)である。ここから、各々のケースでのDhrystoneとWhetstone実施時の平均消費電力を求め、プロットしたのがグラフ166(Dhrystone)とグラフ167となる。この各々のプロットした点を結ぶ傾きから、コアあたりの消費電力が計算できるという訳だ。実際にやってみると、まずDhrystoneでは、
i7-2700K | 15.52W/Core |
---|---|
i7-2700K(HT無効) | 13.20W/Core |
i7-3770K | 9.97W/Core |
i7-3770K(HT無効) | 9.54W/Core |
となり、Whetstoneでは、
i7-2700K | 12.88W/Core |
---|---|
i7-2700K(HT無効) | 9.92W/Core |
i7-3770K | 8.63W/Core |
i7-3770K(HT無効) | 7.47W/Core |
といった数字になる。Core i7-3770Kでは意外にもDhrystoneの場合、HyperThreadingの有無がそれほど大きく消費電力に反映しないという結果になったのはちょっと面白い。
ここから計算すると、4コアの場合整数演算なら概ねコアだけで20W程度消費電力が削減されることになる。Core i7-2700KのTDPが95W、Core i7-3770KのTDPが77Wでその差が大体20Wだから、非常にリーズナブルな数字になっていると言える。また、Core iシリーズの消費電力が、非常にざっくり言うとCPU Coreの消費電力+Uncoreの消費電力であり、仮にTDP枠をフルに使うとするとUncoreの消費電力は、
Core i7-2700K : 95W - 15.52W×4 = 32.92W
Core i7-3770K : 77W - 9.97W×4 = 37.12W
といったところで、概ねどちらもUncore(GPU+System Agent)が35W前後割り当てられている計算になる。先のグラフ161での試算では、Core i7-2770Kの場合でもGPUのフル稼働+CPUがそれなりに稼動+Memoryもフル稼働という条件で41.5Wほどの上乗せだから、Uncoreで35W程度というのは、一応筋としては通っているようだ。