光学10倍ズームだが、実質的には14倍
前モデルCX520Vのワイド端は35mm換算で43mmと広角が弱く、さらにアクティブモード手ブレ補正では回転ブレを抑えるための電子ズーム領域として映像の一部を切り取り補正範囲に当てているため、さらに画角が狭くなってしまった。そのため、室内や広大な風景などの撮影ではワイドコンバージョンレンズの使用を考慮する必要があった。小型のユニットながら広角化を果たしたCX550Vのワイド端は、35mm換算で29.8mmとなり、このサイズのビデオカメラとしてはかなり広角側を強化したといえる。これで狭い空間でも不便を感じなくなったのは喜ばしい。
光学ズームは10倍とやや物足りないスペックだが、アクティブモードの電子補正エリアが望遠側まで延長されたため、トータルズーム倍率で14倍となることに注目したい。前モデルに搭載されていたアクティブモードでは、もっとも有効に手ブレ補正が働くのはワイド端で、焦点距離が伸びるほど電子ズーム領域がなくなり、望遠側では通常の光学式手ブレ補正のみになるという設計だった。CX550Vに搭載された新アクティブモードでは、テレ端まで電子ズーム領域を延長することで望遠側での手ブレ補正の軽減とともに、光学ズームと電子ズーム領域を合わせたトータルズーム倍率14倍として、普段使いで十分な倍率のズーム比になっている。
一般的に電子ズームを使うと画質が下がるものだが、それほど画質の劣化は気にならなかった。また、特殊低分散レンズや複合非球面レンズ、超高屈折率レンズなどを使った11群14枚構成のGレンズを採用したためか、コンパクトなビデオカメラにありがちな望遠域でガクッと光学性能が落ちるようなこともなかった。アクティブモード手ブレ補正をオフにすれば、広角時に画角の広がりが若干確保できるが、手ブレ補正の恩恵とズーム比14倍は捨てがたく、画質的な変化もわずかなことから常時アクティブモード手ブレ補正をオンにする使い方がいいだろう。