アイリス優先やシャッタースピード優先が使える
見た目ではわかりにくいが、ハードウェア面でもっとも注目したいのがレンズの広角化だろう。35mm換算で29.8mm相当から始まる光学10倍ズームレンズを搭載する。前モデルCX520Vのワイド端は43mm相当だったので、撮影領域としては約2倍の面積となる。新規設計の光学系を搭載し広角化を実現しつつも、ユニット自体がそれほど巨大化していないところがポイントだ。一昔前だったら、広角や望遠に特化するとやたらレンズが大きくなってしまうものだったが、近年の光学技術の進歩によってそのようなことはなくなったようだ。レンズが広角化することによって、屋内での撮影や旅先での風景描写が一段と楽しくなるが、手ブレ補正もさらにブレない描写が可能となることにも注目したい。
レンズ脇にはカメラコントロールダイヤル(マニュアルダイヤル)が置かれている。割り当て可能な機能は、マニュアルフォーカス、AEシフト、明るさ調整、WBシフトなど。このダイヤルはより本格的な撮影を楽しみたいユーザー向けで、それが可能なモデルに搭載される。ということは、CX550Vがその要求に応えられるビデオカメラであることを証明している。このダイヤルに「アイリス(絞り)優先」「シャッタースピード優先」というマニュアル機能が新たに追加された。今までのモデルは、アイリスに虹彩絞りを採用していたのにもかかわらず、任意に設定でなかった。CX550Vで"ボケ"を活かした描写が可能となったのはうれしいことだ。
本格的撮影という点で見ると、前モデルで省略されていたビューファインダーが復活したことを評価したい。一般的な撮影では液晶モニターを使った撮影がほとんどで、ビューファインダーを使う機会は少ないかもしれないが、手持ちのロングレンジ撮影やじっくり被写体を狙いたいときなど、ビューファインダーのほうが撮影しやすい場面は多々あるのだ。また、舞台や観測といった長時間の撮影では、液晶モニターを閉じたまま撮影できるため省電力化にも役立つ。ナイトショット撮影でも、液晶モニターからの光を抑えられる点でも有利になるはずだ。
その液晶モニターも今回、大幅に進化している。ソニーのデジタルフォトフレーム「S-Frame」で使われている高コントラストで写り込みの少ないエクストラファイン液晶「TruBlack」を採用。コントラストは800:1、明るさは450cd/m2、視野角は170度だ。また、サイズも3.5型と大型化している。実際、電源を入れて最初に「きれいな液晶だなぁ」と感心した。撮影中の確認だけでなく、鑑賞にも十分に堪えるクオリティとなっている。
操作のほとんどを液晶モニターのタッチパネルで行なうため、ボタンが少ないのがハンディカムの特徴だが、そのわずかなボタン類があるのが液晶モニター収納部となる。見慣れない緑のマークが付いたボタンは、新機能の「iAUTO(おまかせオート)」ボタン。この機能については後述しよう。また「GPS」機能のスライドスイッチが付いているが、これも機能向上が図られ、測位が速くなった。付属ソフト「PMB」を通してGPSアシストデータを日々更新し、それを元に各衛星の詳細な軌道情報を得られるようになっている。
グリップ前部には、外部マイク端子、ヘッドフォン端子が装備される。純正外部マイクは鏡筒部にあるアクティブインターフェースシューを使うが、それ以外の外部マイクも活用でき、より本格的な音声収録も可能になった。