Mini-ITX市場は、間違いなくVIA Technologiesが拓いてきたものであるが、最近の店頭で目立つのは、IntelのAtomを搭載する製品ばかり。VIAの製品は全般的に価格帯が高いため、VB8003が出ても急にシェアが増えるようなことはないだろうが、マザーボード1枚で4画面出力が可能という機能は他になく、ユーザーによっては良い選択肢となるだろう。またグラフィックス性能においても、従来と一線を画す能力の高さは魅力だ。

注目の価格だが、発売が開始された一部ショップでは3万円台前半。GPUを搭載していることを考えると、これは十分競争力があると言えるだろう。目安としては、とにかく価格重視ならAtomマザー(5,000円~15,000円前後)、グラフィックス能力と省電力重視ならIONマザー(15,000円~30,000円前後)、グラフィックス最優先とVIAマニアにはVB8003、という棲み分けも成り立つ。

ただし、残念なのは、まだデュアルコア版のNanoが登場していないことだ。同クロックでの性能はAtom以上だと言っても、Atomにはデュアルコア版がある。しかも安い。4画面であれこれするにしても、CPUのパフォーマンスがボトルネックになっては意味がない。エクスペリエンス・インデックスを見ても、CPU性能のバランスが悪いのは明らかなので、ぜひデュアルコアNano搭載版を期待したいところだ。

Windows Vistaのエクスペリエンス・インデックスのスコア

■VB8003の主な仕様
CPU VIA Nano(1.6GHz)
チップセット VIA VX800
メモリ DDR2-533/667 SO-DIMM×2スロット(最大4GB)
グラフィックス S3 Chrome 435 ULP、VIA Chrome9 HC3(チップセット内蔵)
ストレージ PATA、SATA×2、CFスロット
ネットワーク VIA VT6130 Gigabit Ethernet×2
オーディオ VIA VT1708B
拡張スロット VCPスロット×1
バックパネルI/O HDMI×2、DVI、VGA、PS2、シリアル、LAN×2、USB 2.0×4、RCA×2