アーク情報システムは、Windows(Windows 2000 Professional/XP/Vista)をUSBメモリにインストールし、USBメモリから起動させることが可能なユーティリティソフト「BOOT革命/USB Memory Ver.2」(以下、BOOT 革命/USB Memoryと略記)の販売を開始した(価格9,680円、USBメモリと同時に購入することで廉価となるスリムパッケージ版も価格4,830円で販売される)。光学ドライブからのOSの起動は一般的であるが、USBメモリからの起動が可能となる点がユニークである。
BOOT 革命/USB Memoryの活用法
BOOT 革命/USB Memoryの活用方法であるが、USBメモリには、PC本体とは別のOSをインストールすることもできる。たとえば、現在、Windows XPを使用中で、Vistaへのアップグレードを考えているとしよう。こんな時は、BOOT 革命/USB Memoryで、現在、使用中のXPの環境をUSBメモリから起動できるようにすればよいであろう。その後、PCにはVistaをインストールする。これで、HDDからはVista、USBメモリXPというマルチな環境を構築できる(図1)。
Vistaへの移行に不安がある場合や、XPでしか動かないようなアプリケーションがあり、XPの環境を維持したいという場合にも有効な解決策となりうる。OSごとにデスクトップPCが部屋の面積を占めているようなユーザーにとっては、OSをまるごとUSBメモリに詰め込んで省スペース化を図ることも可能だ。また、ネットブックやノートPCなど比較的HDD容量の少ないPCを外出先で使用する際に、もうひとつのOSをUSBメモリに入れておけば、先述したOS依存のアプリケーションファイルが開けない!などとアタフタすることも軽減されるだろう。
実際に、HDDにはVistaをインストールし、USBメモリからXPを起動している例が、図2である。
システムドライブからのコピーを行ったので、コピー前のアプリケーションも利用可能となる。タスクバーのアイコンには、グラフィックカードのドライバが正しく表示されている。そこで、VistaがインストールされているHDDをエクスプローラで開いてみた。筆者の環境ではGドライブとなっていた。ここにあるWindowsフォルダを表示したものが、図3である。
少々、わかりにくいかもしれないが、「ja-JP」や「Ultimate」などのVista固有の名称があることがわかる。USBメモリなので、新たにアプリケーションのインストールも可能である。試しにWebブラウザをインストールしてみた(図4)。
USBメモリをまるで、もう1台のPCのように扱うことができる。もちろん内蔵HDDからはVistaの起動が可能となる。こんどは逆に、VistaからUSBメモリを開いてみた(図5)。
ここでは設定を変更して、保護されたオペレーティングシステムのファイルも表示してみた。HDDにXPをインストールした状態とほぼ同じである。
また、緊急時のレスキュー用としての活用はいざという時に重要なものとなる。Windowsシステムなどで障害が発生してしまった場合などに、USBメモリから起動するというものである。保存している重要なデータ、メール、お気に入りなどの設定ファイルなどを救出するために利用するのである。
Windowsが起動しない場合は、Windowsのシステムフォルダ内に障害が発生しているが、データを保存している2000/XPならばマイドキュメント、Vistaならばユーザーフォルダ以下は、問題がないことが多い。これらのフォルダにあるファイルやデータを救出するのである。ちなみに、BOOT革命/USB Memoryで作成した起動USBメモリは、HDDなくても起動可能である。ブラウザやメールソフトを入れておけば、非常時にメールを見逃すこともないであろう。
また、USBメモリであるので、ファイルやデータをそのままUSBメモリにコピーすることもできる。CDなどからの起動では、当然のことながら書き込みを行うことはできないので、ファイルやデータを救出するためには、外部にHDDを接続するといった必要がある。そのような手間もない点は、ありがたい。
企業や学校などでは、同じハードウェア構成のPCも多いであろう。そのようなPCに対して、必要なアプリケーションをインストールしておいた状態で、BOOT革命/USB Memoryで、起動可能なUSBメモリを作成しておけば、管理用にも使えるであろう。工夫次第では、さまざまな用途にも使える。
同様な機能を持つものに、Windows PE、Vista PE、LiveCD(CDから起動可能なLinux、KNOPPIXやubuntuが有名)がある。しかし、BOOT 革命/USBMemoryと比較すると、その設定、インストール作業は非常に面倒であり、一般向けとはいいがたい。
Linuxの操作もWindowsユーザーに敷居が高い。BOOT 革命/USB Memoryは、手軽に起動可能なUSBメモリを作成でき、いつもと同じ環境が利用できる点が魅力となる。起動USBメモリの作成には、PCに依存したドライバなどが使われるので、汎用的に利用できない(作成したPC以外では正しく起動できない)という点は残るが、いざという時のために、用意しておきたい物の1つといえよう。
BOOT 革命/USB Memory Ver.2の動作環境
まずは、BOOT 革命/USB Memoryの動作環境などを紹介しよう。対応するOSは
- Windows Vista Home Basic(SP0、SP1)
- Windows Vista Home Premium(SP0、SP1)
- Windows Vista Business(SP0、SP1)
- Windows Vista Ultimate(SP0、SP1)
- Windows XP Home Edition(SP2以上)
- Windows XP Professional(SP2以上)
- Windows 2000 Professional(SP4以上)
いずれも64ビット版には対応していない。Windows 2000はエクスターナルインストール(後述)には対応していない点にも注意してほしい。メモリは、Windows Vistaので512MB以上(1GB以上推奨)、Windows XP/2000の場合256MB以上(512MB以上推奨)となる。USBはUSB 2.0が必須となる(なるべく高速タイプが望ましい)。また、BOOT革命/USB Memoryのインストールなどで、光学ドライブ(CDもしくはDVD)、HDDの空き容量として、50MB以上が必要となる。
また、USBメモリは「リムーバブル」として認識される必要がある。最近では、USBメモリの形状したSSD(シリコンディスク)がある。このようなSSDの場合、USB HDDとして認識されてしまい、起動用には使えない。Windowsの管理メニュー[ディスクの管理]で、「リムーバブル」となっているかで確認できる。この点もあらかじめ確認しておきたい点である。
アーク情報システムではこれまでも、BIOSがUSBデバイスからの起動をサポートしないPCでも、USBデバイスから起動を行う技術を培ってきた(BOOT革命/USB Ver.3など)。BOOT 革命/USBMemoryでは、USBメモリからWindowsが起動できるという画期的なものであり、USBデバイスから起動ができないPCでも、起動可能なところが注目される。
万が一、USBメモリから起動ができないという場合でも、BOOT 革命/USB Memoryの製品CDから起動する、USB起動用のFDを作成してから起動する、内蔵HDDに起動コードを書き込むという3つの方法がある。これらの方法を使うことで、USBメモリ内のWindowsを起動させることができる(万が一、これらの方法でも起動ができない場合には、アーク情報システムでは、返金保証制度を提供している。これも実に安心なシステムであろう。詳細は、パッケージに同梱されている案内を参照のこと)。