写真って面白い!を再認識できるカメラ

マイクロフォーサーズが発表され、フォーサーズはどうなるのだろうか? と思っていたが、E-30を使ってみて、作り出したシャープで周辺までクリアに描写する解像力と快適なAF性能など、フォーサーズには有利な点があることが確認できた。この後もフォーサーズは進化するだろう。

個人的に面白かったのは、やはりアートフィルターだ。目に見えたものを美しく再現するだけでなく、銀塩写真のような表現を楽しむことができるのが、ちょっと懐かしい感じで、撮影していて楽しかった。画像処理ソフトを使えばE-30のアートフィルターのような処理も可能だろう。しかし普通の写真じゃない不思議な感じの写真をカメラだけでできる手軽さ、気軽さがいい。「写真って面白い」とい感覚になれる。もちろん、こういった画像処理を嫌う人もいるかもしれない。しかし、そのような人は使わなければいいだけのこと。このアートフィルター機能は、マニアックな写真愛好家よりも一眼レフ初心者やデジタル世代の若者にうけると思う。

オリンパスのラインナップは、1桁型番のフラッグシップモデル「E-3」、コンパクトなボディと使いやすい操作性の3桁型番の「E-520」、「E-420」。そして新しい2桁型番の「E-30」はミドルクラスという位置づけだが、限りなくE-3に近いモデルという印象を受けた。簡単にいえば、E-3から防塵防滴機能を省いて低価格化したモデルという感じだ。スペック面でもファインダーとAF性能には若干劣る部分があるが、秀でている部分もいくつかあり、写真愛好家のニーズに充分応えてくれるだろう。

肌を明るくクリアに再現することができた。背景の柔らかい丸ボケも良い雰囲気。[14-54mm F2.8-3.5 II / L+F(JPEG) / 54mm(108mm相当) / 絞り優先AE、補正+0.7EV(F3.5、1/125秒) / ISO 200) / WB:オート / 仕上がり:PORTRAIT]

色温度が下がりはじめた時間帯で撮影。天気のヌケがよく、とてもきれいな光の日だったので、仕上がり設定「FLAT」で撮影しても、とても色のった。[ED 9-18mm F4.0-5.6 / L+F(JPEG) / 18mm(36mm相当) / 絞り優先AE(F6.3、1/100秒) / ISO 200 / WB:晴天 / 仕上がり:FLAT]

広角レンズ「ED 9-18mm F4.0-5.6」を使って撮影。周辺の木々までシャープに描写しているが、周辺はパープルフリンジが発生している。[ED 9-18mm F4.0-5.6 / L+F(JPEG) / 9mm(18mm相当) / 絞り優先AE、補正+0.7EV(F6.3、1/500秒) / ISO 100 / WB:晴天 / 仕上がり:FLAT]

階調の設定は「標準」で、並んだ葉牡丹を撮影。陽が当たっている白い部分は白飛びを起こしている部分もあるが、シャドー部分は黒潰れすることなく描写した。[14-54mm F2.8-3.5 II / L+F(JPEG) / 19mm(38mm相当) / 絞り優先AE(F7.1、1/250秒) / ISO 100 / WB:オート / 仕上がり:NATURAL]

コントラストのメリハリが強めだが、シャープネスは強くないので、寒牡丹の花びらが柔らかく描写された。[ED 9-18mm F4.0-5.6 / L+F(JPEG) / 9mm(18mm相当) / 絞り優先AE、補正+0.7EV(F5.0、1/250秒) / ISO 200 / WB:晴天 / 仕上がり:NATURAL]

風が強く冬の晴天下で撮影したので、どんな被写体でもヌケの良い絵になる日だった。E-30は青が強めなので、柱の水色が立ち気味になった。[14-54mm F2.8-3.5 II / L+F(JPEG) / 18mm(36mm相当) / 絞り優先AE(F8、1/500秒) / ISO 200 / WB:オート / 仕上がり:FLAT]

日陰の路地での1枚。雨風にサラされ色があせた洗濯機と自転車。[14-54mm F2.8-3.5 II / L+F(JPEG) / 18mm(36mm相当) / 絞り優先AE(F8、1/125秒) / ISO 800 / WB:オート / 仕上がり:NATURAL]

葉の緑は自然な印象。露出補正で見た目より明るめに表現している。[14-54mm F2.8-3.5 II / L+F(JPEG) / 18mm(36mm相当) / 絞り優先AE、補正+1EV(F8、1/60秒) / ISO 500 / WB:オート / 仕上がり:NATURAL]

仕上がり設定「NATURAL」でも、充分鮮やか。色のりも濃く、プラス補正でも色が薄れることはなかった。[14-54mm F2.8-3.5 II / L+F(JPEG) / 37mm(74mm相当) / 絞り優先AE、補正+0.7EV(F3.2、1/2000秒) / ISO 200 / WB:オート / 仕上がり:NATURAL]

雨上がりの寒椿。逆光で、がくの立体感が美しい。丸ボケもキレイに描写された。[14-54mm F2.8-3.5 II / L+F(JPEG) / 32mm(64mm相当) / 絞り優先AE、補正+0.7EV(F3.5、1/60秒) / ISO 500 / WB:オート / 仕上がり:NATURAL]

ローアングルで撮影。深い空の色が、ツワブキの黄色を引き立てる。[L+F(JPEG) / ED 9-18mm F4.0-5.6 / 9mm(18mm相当) / 絞り優先AE、補正-0.3EV(F6.3、1/800秒) / ISO 200 / WB:晴天 / 仕上がり:FLAT]

日陰の境内で撮影したためISO 800で撮影した。通常撮影ならノイズやざらつきなどは許容範囲だろう。[ED 9-18mm F4.0-5.6 / L+F(JPEG) / 9mm(18mm相当) / 絞り優先AE(F5.6、1/60秒) / ISO 800 / WB:晴天 / 仕上がり:FLAT]

テスト撮影 : 川上卓也(B Studio)
作例撮影・レポート:加藤真貴子(WINDY Co.)