Interviewを終えて

IPDという部署は、ほとんど前面に出てくる事がない。実際、IPDの活動が一番見えやすいのはCOMPUTEXとかIDF Taiwanといった、台湾におけるイベントであろう。ちょっと古い話だが、これなんかがIPDの扱う範疇である。

それにしても鼻息が荒いのは、やはりAtomプロセッサによって、ARM11クラスのマーケットを狙えるようになったからだろう。さらに今後はSoCが色々登場する事で、ARMベースのSoCに対してもそれなりに競争力のあるSolutionを提示できることになる。

とは言え、現状ではこうしたマーケットではx86のプレセンスが皆無であるから、PCと異なり「x86のアプリケーションが動きます」という図式はそのままでは通用しない。そこで次なる技が「Internetとの親和性が高いです」という事なのだろう。

ただ個人的には、これがどこまでアドバンテージになるのか、はちょっと「?」である。まず前提として、これだけ多様多種なデバイスがInternetに繋がるとすると、それはすでにIPv4ネットワークでは無理がある。だから、当初からIPv6を念頭に置く必要があるように思える。が、IPv6の普及は相変わらず進んでいない。

IPv4が枯渇するのはこちらによれば概ね2011年となっており、それまでにIPv6への移行がスムーズに行われれば、あるいはこうしたシナリオも現実を帯びるかもしれないが、そのためにはIPDというかIntelは率先してIPv6推進の旗振りをする必要がありそうに思える。

逆に言えば、これで急速にIPv6化が進んだ場合、非x86 PlatformのIPv6化が非常に遅れているのがx86には追い風になるわけで、これが実現すれば確かにNext 10 BillionのMarketでIntelが足がかりをつかむ事は不可能ではないだろう。このあたり、どういうPromotionを今後行うのかはちょっと楽しみである。

Automotiveに関しては、さらに「???」が付く。今ですら、ITSが搭載されるのは各メーカーの高級車グレードに限られているわけで、次世代のITSとなると、それが搭載されるのはまだずっと先の事に思える。個人的にはPhoto06で示される将来のITS機能のほぼすべてが「俺イラネ」的な物でしかない。「運転席でオンラインゲームやってどうするよ?」という突っ込みをしたくなる人間は筆者だけではあるまい。

もっとも、最近はほぼすべての半導体メーカーが「次はAutomotive Market」と名乗りを上げているご時世だけに、IntelでもAutomotiveを無視する(そしてAutomotive Marketを奪われる)のは許されない訳で、とりあえず何かしらの動きはしなければならなかった、というあたりではないかという気もしなくはない。

ただ、今のAutomotive Marketの動向は、こうしたRich Infortainmentの方向ではなく、省エネとかDrive Safetyの方向を向いているわけで、Intelもこうした方向を向くようになるのか、それとも今の路線で突っ走ってゆくのか、今後の動向を観察したいと思う。