ピクチャースタイルは好みと被写体で使い分ける
キヤノンカラーモードである「ピクチャースタイル」。モードによって比較的大きく色が変化する。他社と違う点は、標準の「スタンダード」が鮮やかなモードであること。「ポートレート」や「風景」などの目的別モードを別にすると、「ニュートラル」「充実設定」ともに「スタンダード」よりも鮮やかさを抑えたモードになる。
「忠実設定」はちょっと特殊なモードと考え、「スタンダード」と「ニュートラル」を使い分けるのがいいだろう。「風景」はかなり鮮やかで、普通のちゃんと色のある風景ならば「スタンダード」で十分。曇りであるとか、色の少ない風景のみ「風景」モードを選べばいい。「ポートレート」はやはり人物撮影専用と考えたい。他のモードに比べ、かなり黄色や赤色が立ってくる。
ピクチャースタイルのメニュー。コントラストなどの調整だけでなく、ユーザー設定も可能。以下はピクチャースタイルを変えて撮影したもの |
顔を認識するオートライティングオプティマイザ
明るさやコントラストを自動で補正する「オートライティングオプティマイザ (ALO)」をKiss Fも搭載する。Kiss X2のレポートではあまり効果が感じられなかったとしたが、それもそのはずで、逆光の補正は人物が入っていないと機能しない。逆光時、同じシーンでも人の顔があればALOが働き、それ以外では動かないことが確認できた。
また、ALOはマニュアル露出では動作しない。これは露出をコントロールしているわけではなく、撮影者の意図を優先してのこと。明るさを厳密に決めようとマニュアルで撮影しているのに、自動で変わってしまったら使いづらいだろう。
いったんALOが動作すると、ひと目でわかるほどに効果が現れる。しかし逆光時以外、低コントラストや全体が暗い場合でもAOLは働くというが、こちらは明確な効果が見つけられなかった。また、Kiss X2で搭載されていた白飛びを抑える「高輝度側階調優先」は、Kiss Fでは省略された。
左はALOオフ、右はオンで撮影。同じ露出なのに、まったく明るさが違っている |
画像が明るく、軽くなってしまう現象
さて、全体の絵づくりについて。基本的な絵の具合はKiss X2よりもむしろKiss Xに近いように感じた。初心者にわかりやすい鮮やかさやコントラストの強さなど、コンパクトカメラを使っていたユーザーにも馴染みやすい絵づくりだ。といっても、Kiss X2とまったく違うというわけではない。並べて見たときに違いがわかる程度である。
むしろ気になったのは、先に述べた、明るい部分がハレーションのように白っぽくなる現象だった。全体に明るめに写す設定も関係しているのだろうが、明るい部分の階調が不足したり、質感が抜けていくように感じることがあった。白飛びしやすいというわけではないので、そういったセッティングなのだろう。心持ち露出を下げぎみで撮影するのがいい。
オートホワイトバランスはよく働く。基本的に青みが勝つ従来のキヤノンスタイルで、全体に抜けのよい絵に仕上がる。ただ、まれに緑が全体にかぶってしまうことがあった。ほとんど問題ないが、夏の森の中、全体に緑の光があふれているような場合は、撮影後の画像チェックを忘れないように。
彩度の高い被写体を撮影し、○の部分のヒストグラムを比較したのが右の図。バランスはKiss X2とほとんど同じだが、若干緑が右に位置しているようだ |