中央は速いが他のAFポイントは少し迷う
測距点の中央のみを使ういつものオートフォーカステストでは、Kiss X2とまったく同じ成績だった。EV5の明るさで平均0.9秒、EV1で平均1.3秒。言うまでもなく、このクラスでは非常に速い。ただ、若干前ピンぎみの傾向があるようだ。
ちなみにスペックを見ると「オートフォーカス輝度範囲」がEV0.5~18となっている。これはKiss Nと同じだ。十字型の7点測距も合わせて考えると、AFユニットはKiss Nからの流用なのかもしれない。しかし十分に速いのだから、ぜんぜん文句はない。
しかしブランコの連続撮影では、ちょっと遅れる傾向が見られた。特に手前側でブランコが戻る際、方向の変化について行けないことが多かった。またブランコではないが、中央以外のAFポイントを使用する際、迷うことがけっこう多いように感じられた。ちゃんとコントラストのあるところならいいが、コントラストが低かったり暗かったりすると合焦に時間がかかる。といっても、Kiss X2との比較であって、このクラス全体としては十分に快適なオートフォーカスだといえる。
左からブランコ連写(1)~(3)。測距点は中央固定にしている |
手ブレ補正は2段の効果を確認
Kiss Fにセットで用意されるレンズは「EF-S 18-55mm F3.5-5.6 IS」。手ブレ補正もこのレンズ側で行なう。どのくらい効果があるか調べたのが下のグラフだ。シャッター速度を変えながら10カットずつ3人で撮影し、計30カットのうちどのくらい手ぶれせずに撮影できたかをグラフ化している。だいたい最大で2段ほどの効果が確認できた。
撮影後の画像をパッと見るともっと成績がいいように見えるのだが、微妙に像がゆるく、よく見てみるとブレていたという像が多かった。最後の詰めがちょっとあまいように感じる。それでも安定して性能を発揮したのはさすがだと思う。ちなみに、手ブレ補正は撮影者や条件によって大きく変わるので、グラフはあくまで参考として見てほしい。
手ブレ補正のオンとオフで、どのくらいヒット率が変わるかを調べた。写真は1/15秒のサンプル。結果、最大で2段の効果が確認できた |
流し撮りも手ブレ補正オンのままでOK
また18-55mm ISは、流し撮りを自動で判別するという。試したところ、手ブレ補正オンのまま縦位置、横位置とも流し撮りができた。三脚に固定して使う場合も手ブレ補正はオンのままでかまわない。しかし三脚というと、天体撮影のように極端な長時間の使用も考えられる。そういった場合はバッテリー消費の面でオフにしたほうがいい。
歪曲などもチェックした。テレ端では糸巻き型の収差がほんの少し発生するが、ほとんど気にならないレベル。ワイド端ではさすがに樽型収差が目立ってくる。また周辺の光量落ちや像の劣化については、テレ側であればほとんど気にならない。ワイド側+絞り開放では若干光量が落ち、像もゆるくなる。ただし1~2段絞り込めば気にならなくなる。総じて、安定した描写といえるだろう。