同じイメージだが、専用のボディ
Kiss FのボディはKiss Xに似ているが、実はまったく別物だ。ショルダーのラインもKiss X2より肩の張ったデザインだし、ダイヤルなどの位置も微妙に違っている。全体に凸凹が減ってフラットになったようだ。姉妹モデルなのに、ボディを専用に起こすのは大したものだと思う。キヤノンのやる気を感じる。
手にした感触は相変わらずKissである。グリップが細身で前後に長いタイプで、成人男性の手には少々小さく、指が余る感じだが、女性の手にはちょうどいい。またKiss X2ではグリップや背面に貼られていた滑り止めのゴム材が省略され、サラサラした感触になる加工が施されている。Kiss X2よりも滑りやすいのでホールドに気をつけたい。
ボタンは少しずつ大きくなった。プチっと押す感じは同じだが、Kiss X2よりもわずかに柔らかい感触。これは使いやすいと思う。また、ISOボタン周辺がフラットになり、モードダイヤルを少し後ろに下げたことで、ISOボタンがずいぶん使いやすくなった。いかんせんKiss X2は狭すぎる。
モニターが2.5型になったことで、十字キーなどが少し左側に移動している。どうせなら、Kiss Xのようにモニター左側にデジタル系のボタンを置いてもらったほうが使いやすいと思う。EOS 40Dも含め、配置の統一を図ったのだろうか。
レリーズ音は、Kiss X2がボディの中のほうで軽く動く感じがするのと違い、Kiss Fはひとまわり重く、角の尖った感じの音となる。遮音材が少ないような感じだ。また、合焦時の「ピピッ」という電子音も少し大きめ。これはピントが合ったことを初心者にも確実に伝えるという意味では悪くない。気になるのならオフにもできる。
見やすくなった配色とダイレクト操作のボタン
モニターを使った撮影情報の表示内容はKiss X2と同じだが、標準カラーが黒地+白抜き文字に変更された。やはりこのほうが見やすい。Kiss X2同様の白地+黒文字にも変更できる。
撮影の各種設定は、使用頻度の高いものはボタンからダイレクトに行ない、それ以外はメニューにまとめられている。メニューとボタンで機能を兼ねることはなく、例えばISO感度の変更はボタンのみからとなる。例外はカラーモードの変更を行なう「ピクチャースタイル」ぐらい。これもメニューからは詳細設定が可能だが、ボタン(十字キーの下側)からはモードの切り替えだけになるなど、差別化されている。
ダイレクトボタンからの設定は「OK」ボタンを押して決定する。通常はエンジ色の表示が、決定の瞬間だけ青に色が変わる。決定がわかりやすくていい。「OK」ボタンを押さず、選択しただけで決定されるのは露出補正とAFポイント(AFフレーム)の2つ。これはファインダーを覗いた状態で素早く選択する必要があるためだろう。ただ、初心者が使うことを考えると、露出補正は押しながら回す方式だけでなく、押す→回すと、操作を分けられるようにすると親切かもしれない。
設定を変更し、決定すると、地色が青色に変化し、決定を知らせてくれる |
「MENU」ボタンで開く通常メニュー。ダイレクトボタンとは機能がかぶらない |
細かな設定は「カスタム機能」にまとめられているが、けっこう重要なものもある |
よく使う機能は「マイメニュー」に登録
撮影直後の画像確認からは、画像の拡大はできない(「DISP」ボタンによる表示切り替えは可能)。いったん再生モードに切り替える必要がある。逆に、画像確認からどのボタンを押してもすぐに設定変更に移行できるのがメリット。「拡大」ボタンを押しても画像拡大ではなく、AFポイントの選択が立ち上がる。
画像の拡大は再生モードで拡大ボタンを押す。拡大ステップが多いため、ピントを見るまでボタンの連打になる。クイック拡大が欲しいところ。表示の速さやスクロールはそこそこ速く、待たされる感じはしない。拡大した状態でダイヤルを回すと、拡大率と位置を保ったまま前後のコマに切り替わる。
また、再生時には白飛び(ハイライト)を点滅させて表示する機能があるが、これが見られるのは画像が小さく表示されるヒストグラム表示のみ。画像が小さいので、白飛びも確認しづらい。Kiss X2の時には気にならなかったということは、やはりモニターが小さくなったためだろう。
よく使用する機能を登録しておく「マイメニュー」は便利。たとえばライブビュー関連のメニューは「機能設定1」、「カスタム機能」に分かれているので、これをまとめて置いておくのもいい。しかし「マイメニュー」に登録できるのは、カスタムを別にすると大きな機能ごとになるので、あまり操作は短くならない。たとえば「ピクチャースタイルのコントラストをこまめに調整したい」と思っても、ピクチャースタイルのメニュートップしか登録できないので、結局はメニューを順ぐり操作することになる。