すこし明るめになるKiss F
Kiss Fについて、少し期待するところがあった。画素数が少なくなることでダイナミックレンジが拡大するのではないか? ということだ。
しかし白飛びや黒つぶれの具合をKiss X2と比較してみたところ、ほとんど変わらなかった。逆にいえば、高画素数で同じような特性を持っているKiss X2の撮像素子が、それだけ優れているともいえる。また、Kiss FのほうがKiss X2よりほんの少しだが、明るく描写されるようだ。同じ露出で撮影しても、わずかにKiss Fのほうが明るくなる。といっても露出で1/3段の差もないのだが。
そのためかわからないが、Kiss Fではシーンによって、ハレーションを起したように部分的に明るくなってしまう現象が見られた。原因はよくわからないが、Kiss X2では見られなかったので、撮像素子の違いによるものと思われる。
Kiss X2も明るく描写しようとするが、Kiss Fはそれよりもさらに明るくなる。気持ちアンダー目の撮影を心がけると、イメージどおりの明るさになるはずだ。
Kiss Fで撮影。右はそれぞれ補正+2EV、-2EVで撮影し、白飛び、黒つぶれした部分を着色したもの |
上記と同じようにKiss X2で撮影。白飛び、黒つぶれはほとんど変わらない |
スペックどおりの解像度の差
解像度は撮像素子のスペックどおりといったところ。Kiss X2は約1900TV本もの解像力だが、Kiss Fは少し下がって約1800TV本弱といったところ。それでも十分な解像力である。
それより気になったのは、Kiss Fのほうがかなりシャープネスが強いことだった。もともとキヤノンは強めのシャープネスが特長だったが、Kiss X2ではこれがずいぶん抑えられて自然な仕上がりだったのに、Kiss Fでは以前のキヤノンに戻ったようだ。気になるようだったらピクチャースタイルで「シャープネス」を少なく設定するといいだろう。
解像力チャート。左は開放(F5.6)、右はF8で撮影。絞り値が1段しか違わないこともあり、解像力もほぼ同じ1800TV本程度。ただ、開放のほうが周辺光量が落ちているのがわかる |
ノイズはKiss X2よりも少ない
一般的に、撮像素子のツブが大きくなることで高感度撮影時のノイズも減少するはず。これはKiss Fでも確認できた。わずかだが、Kiss X2よりも高感度時のノイズが少ないようだ。Kiss X2はISO 800でほんの少し色ノイズが見られたが、Kiss Fではほとんど見られず、ISO 1600で比較してもKiss Fのほうが少し優位だ。Kiss X2でも十分にノイズが少なかったので、Kiss Fはそれに輪をかけて少ないことになる。ISO 3200を使えるようにしてもよかったのではないか。
ちなみにKiss Fで撮像感度を「AUTO」にすると、ISO 100~800の間で自動的に変化する。しかし実際に撮影してみると、ものすごく明るいシーンでもISO 100に下がらない。メーカーに確認したところ、ISO 200で絞りやシャッター速度を先に絞っていくが、決してISO 100にならないわけではないという。ISO 100とISO 200で画質の違いは見つけられなかったので、そういうものだと思って使えばいいだろう。