今度は、実在の宇宙船を潜水艦になさったRNさんにお話をうかがった。

RNさんとスペースシャトル「アトランティス」

――スペースシャトルを潜水艦にしてみようと思われたのは、なぜですか?

「水中で無重力状態をシミュレートできることからです」

――プールに張った水を宇宙空間に見立てて……。

「普通なら、我々が宇宙空間を実験の場として利用することは、まず不可能です。でも水中なら、それに近いものができると。実際、NASAでは宇宙飛行士の訓練にプールを使ってますからね」

――おっしゃるとおりですね。

「それで、たまたまプラモデルでいいものがありましたから、それを使ってみようと」

――ベースになったのは、市販のプラモデルなんですね。ところで、スペースシャトルは機体ごとに固有の名称をもっていますが、これは、そのうちのどれですか?

「アトランティスです」

――先ほど拝見しましたら、後部の3つの噴射ノズルが光っていましたが……。

「噴射口にLEDを仕込んでいます」

――すると、前に進む力は、どこから?

「推進力は灯油ポンプを使ったウォータージェットで、その噴射口は3つのノズルの真ん中の位置にあります」

アトランティス

アトランティスを真後ろから見たところ。3つの噴射ノズルの中心に、それぞれLEDが仕込まれているのが分かる

水中でLEDを点灯したところ

3つのノズルの真ん中にあるのが、この模型を前へ進めるための噴射口

――なるほど、噴射ノズルに隠れて目立たないようになっていますね。ちなみに4chのコントロールは、何に割り当てられていますか?

「まずは、推進力を生み出すもとになるモーターの回転数ですね。灯油ポンプに接続されたモーターに送る電力を調節して速度をコントロールします。あとは機体の向きを上下・左右に変えるのに、3ch使っています」

――そこは、飛行機のラジコンと同じなわけですね。

「ですから背面航行や宙返りなど、宇宙空間と同じようにできます」

――そして、実際のシャトルの貨物室にあたる部分にメカが仕込んであるわけですね。それにしても、ちょうどいいサイズのシャトルのプラモデルがよく見つかりましたね。

「実を言いますと、もう先に作ってらした方がいたんです。で、それを見て触発されまして。アトランティスのネーミングも、その方の機体がディスカバリーだったので、それにちなんで名づけました」

――機体のバランスは、どのようにして調整されましたか?

「実際にメカを積み込んだ状態で、自宅のお風呂に水をためて(笑)。いつも、カミさんに、『何やってるの』と(笑)。『いや、ちょっと……』(笑)。そこで重りを移動したり、浮力材を移動したりしてバランスを取ったり」

――その調整を行うときに気をつける点は、どこですか?

「浮力材は、沈むにしたがって浮力を失っていきます。ですから、最初から浮力をプラスにして浮くようにしておかないと、なにかあったときに上がってこられなくなってしまいます」

――これがうまく動いたときの感想は、いかがでしたか?

「うれしかったですね。なぜかというと、ラジコンで飛行機を飛ばしていると、いつも危険を感じてしまうんです。でもこれだったら、ほっといてもその場に浮いてるだけですから」

苦労の末に進水したアトランティス。その姿は、宇宙を飛ぶスペースシャトルのようだ

――今後、これを使ってやってみたいことは、ありますか?

「わたしが触発された方の機体と、これとほかにも今、作ってらっしゃる方がいまして、3機そろったらスペースシャトルの編隊飛行をやってみたいと思っています」

動画
こちらは、Voodooさんのスペースシャトル「ディスカバリー」。きりもみに宙返りと、水中は宇宙そのもの