さて、翌週である。今回は、新たにS-5C-FBを10mと、チューナーもマスプロ電工の「DT-400」を用意した。チューナーはマスプロ電工からお借りしたものだ(さすがに外付けチューナーをそう何台も購入するわけにはいかない)。まずは、チューナーだけを交換してみた。するとどうだろう、問題なく映ってしまったのだ。これには困った。せっかくS-5C-FBを用意して来たのに。全チャンネル問題なく映るし、ブロックノイズも発生しない。アンテナレベルを見てみると、一番低いのが東京MXテレビで31dB前後(でも映る)。一番高いのがNHK総合で52dB前後となっている。どうも、チューナーによって、映りに差があるようだ。
このDT400なのだが、お借りしたので少し紹介させていただく。地上/BS/CS 110°のデジタル放送に対応した外付けチューナーで、EPGやデータ放送にも対応している。出力はD端子までで、HDMIは搭載されていない。これは今回試しているような古いハイビジョンテレビの延命用としては、かなりマッチしたスペックのチューナーだと思う。
DT400で受信できることはわかったのだが、筆者が購入してきたチューナーはDCT10だ。最終的には、これで受信できるようにしなければ、問題の解決にはならない。というわけで、TopTenのアンテナ部分から電源部分までの配線をS-5C-FBに交換した。もともと使用されていたケーブルは4C-FVだ。接続してチェックしてみたところ、今度は問題なく映る。ブロックノイズの発生もほとんど見られない。一番電波の強いNHK総合で60dB程のアンテナレベルだ。やはりシールドが利いているのと減衰の少なさによるものだろう。いったんケーブルを外し、既存のケーブルが引き込まれているエアコンの配管用の穴のパテを外して、そこにS-5C-FBを通し、新しいパテで埋め直す。これで一応完了だ。
今回は、たまたま問題なく地デジ放送を映すことができた。実際のところ、最悪、アンテナ代は無駄になるのを覚悟で行ったのだが……。しかし、すべての環境で同じようにいくというわけではないだろう。もっと条件の悪いところでは、TopTenとDT400の組み合わせでも難しい、というケースもあるはずだ。しかし、都市部などでは、従来のアナログ放送の場合とでは傾向が違うので、室内アンテナでもなんとかなるケースは多い。今回のようにベランダや窓の手すり部分などにアンテナを設置できれば、さらに成功率はアップするだろう。場合によっては、もっと簡易な受信設備でも地デジ難民から脱出できるケースがあるかもしれない。