というわけで、実際に、地デジが受信できない環境で、室内アンテナを試してみることにした。テストした場所は、横浜市の北部。昭和50年代に建てられた集合住宅で、鉄筋11階建ての10階部分。古い建物なので、部屋に設置されたアンテナコンセントからでは、地デジの受信は不可能だ。困ったことにアンテナの工事のめども立っていない(実は筆者の実家なのだが)。集合住宅で、地デジへの改修がいつになるのかわからないというケースは結構多いのではないだろうか。
また、この物件では送信所は直視できない。置かれているテレビは、ハイビジョン用のブラウン管が使用されている32V型のモデルで、D端子も付いている(ただし、ハイビジョンチューナーは搭載されていない)。これに、室内アンテナと外付けの地デジチューナーとを組み合わせることで、地デジのハイビジョン放送を受信してみようと思うのだが、果たしてこの環境でも可能なのだろうか? うまくいけば、このテレビの延命にもなるわけだ。
室内アンテナにも小型のものから、比較的サイズが大きく強力なブースターを搭載したモデルまでさまざまある。こういう場合には、一番強力なものを選ぶのがよいだろうというわけで、今回セレクトしたのは、マスプロ電工の「TopTen」というモデルだ。
TopTenには、オートブースター内蔵の「TT2B」と非内蔵の「TT2」の2モデルがあるが、筆者の選んだのはTT2Bの方だ。近所の電気店で13,800円で購入した。アンテナ単体で5~7dBの感度があり、さらに+30dBのオートブースターが付属する。パッケージには「King of Indoor」の文字が書かれている。直訳すると「内弁慶」ということだろうか。いずれにせよ、これでだめなら、室内アンテナでは無理ということになるだろう。
このTopTenだが、四角柱の形状をしている。このような形の室内アンテナは比較的よくあるが、それらとはサイズが違う。四角柱タイプの室内アンテナのサイズは、長さ40cm程というのが一般的だ。同社のWebサイトの写真ではそれほど実感がわかないかもしれないが、TopTenは実は非常に大きい。箱に入れたままだと長さは70cm程度はある。筆者はこれを現場までバイクで運んでいったのだが、リアフェンダーを外したバイクだと、道交法に抵触しそうなぐらいのサイズではある。アンテナのサイズが大きいということは、それだけ効率も高いということになる。
一方、チューナーは八木アンテナ製の「DCT10」にした。なにしろ低価格なチューナーで、こちらは量販店で19,800円で購入。地デジ専用のチューナーで(BSデジタルやCS 110°デジタル放送には対応していない)、EPGやデータ放送なども利用できないが、この価格なら納得できる。HDMI端子も備えているので、こういった古いD端子付きハイビジョンテレビの救済だけでなく、地デジチューナーを内蔵していない低価格な液晶テレビなどと組み合わせるという使い方もできるだろう。