地デジ難民を救済する~メーカーの設置サービスという選択肢も

自宅で地デジの受信が可能かどうかは、一般ユーザーには判断が難しい。そこで、販売店に取り付けのサービスまで依頼するというケースも多い。戸建ての住宅の場合、たいていはこれでうまくいくはずだ。また、集合住宅などで、ベランダなどに個別にアンテナを設置して引き込む場合も、問題なく受信が可能になるだろう。しかし販売店によってスキルはまちまちだ。地デジのサービスが開始して間もない地域では、とくにその傾向は強い。また、新築物件では、地デジの受信環境が調っているケースが増えてきていると書いたが、実際にその部分の工事を受け持つ工務店が、それなりのスキルを持っていないというケースもある。

ここで1つのケースを紹介したいと思う。通信販売で低価格な液晶テレビなどのデジタル家電をを販売しているメーカー、ユニデンが行っている「地上デジタル放送受信対応無料見積サービス」だ。同社の製品はショッピングサイトなどから購入することができる。同社のデジタルチューナー内蔵テレビは、同じ低価格路線を採るメーカーとは異なり、地上デジタルだけではなく、BSデジタル、CS 110度デジタルチューナーも内蔵したものだ。

同社では、地デジチューナーを内蔵したテレビをラインナップしたことにより、「果たして自分の家で地デジが受信できるのか」「受信できるようにするためには、どのくらい費用がかかるのか」という問い合わせが相次いだとのことだ。以前から、テレビなどの配達時に設置まで行う「らくらく設置サービス」は行っていたのだが、受信環境が調っていなければ、単純な設置サービスだけではどうしようもない。

そこでスタートさせたのが、この地上デジタル放送受信対応無料見積サービスというわけだ。これは、設置時に現場でのユーザーの受信環境を確認し、地デジが受信できるように改修するのにはどのくらいの費用がかかるのかの見積もりを行うというもの。ここまでは、らくらく設置サービスに含まれているため、新たな費用は発生しない。そして、費用面での折り合いが付けば後日、工事を行う。見積もりや工事を行うのは同社と提携した業者ということになる。

それらの業者は、同社が地デジの受信環境を構築するスキルがある業者を探し、各地で契約したもので、見積もりから工事までを一貫して行うことができる。残念ながら、現時点では、まだ日本全国すべての地域でこのサービスが受けられるというわけではない。サービスが可能な地域は同社のWebサイトで確認できる。

このサービスは2007年の3月にスタートしたばかりなのだが、同社のコールセンター経由でデジタルチューナーを内蔵した製品を購入したユーザーのうち、13%強がこのサービスを利用。また、単品の地上デジタルチューナーの設置サービスを受けたユーザーのうち、約65%がこのサービスを利用しているという。もちろん、この母数には、すでに地デジの受信環境が調っているというユーザーも含まれるわけなので、かなり高い比率で、利用されていることが伺える。

本来ならば、販売店が行う地デジ環境を整えるサービスだが、販売店を経由せず、ダイレクト販売を行うメーカーであるがゆえに、自社でここまでのシステムを作らなければならなかったということなのだろうが、確実に地デジ環境を整えるスキルを持った業者による工事が受けられるということは、ユーザーにとっては大きなメリットだ。

同社がこのサービスを行っているということは、まだそれほど広く知られているわけではないが、こういった取り組みは、地デジの受信環境を整えるひとつの選択肢として注目されてもよいだろう。