地デジ難民を救済する~実践編

さて、個人所有の戸建て住宅の場合、業者に依頼してアンテナや屋内配線を地デジ対応にするという方法が安心だ。しかし、集合住宅の場合、そう簡単にはいかない。管理組合などで対応を話し合うにしても、戸数が多くなればなかなかまとまらない。また、管理組合の集会はそれほど頻繁に行われるわけではないし、見積もりを取ったり、各戸の意見を調整したり、実際に動き出すまでに、半年以上かかることも珍しくはない。建物ごと地デジ対応にするのがベストだが、それまでの間、手軽に視聴する方法はないだろうか。

現在、地上デジタル放送に対応したアンテナが多数販売されている。量販店などでは室内アンテナで地デジ対応、という製品もよく見かける。アナログ放送で室内アンテナを使用したことがある人は、室内アンテナではまともには映らないだろうという先入観を持つかもしれない。しかし、アナログ放送とデジタル放送とでは、性質が異なる。

アナログ放送の場合、電波が弱くなると段々ノイズが増えてきて、ある程度弱くなると映らなくなる。それに対してデジタルの場合、映るか映らないかのどちらかだ(厳密にいうと、電波が弱かったりノイズの多い場合には画面にブロックノイズが発生するので、映る/ブロックノイズが発生する/映らないの3パターン)。また、アナログの場合、電波の強さも必要だが、ゴースト対策などのため、アンテナの指向性も重要になってくる。

それに対して、デジタル放送では、ゴーストの心配はないため、信号の強ささえ確保できれば、室内アンテナでも、屋外に立てたアンテナと同等の受信が可能になる。ただし、どこでも受信できるというわけではない。室内アンテナは基本的に強電界用で、ある程度の電波の強さがあって、初めて使用することが可能になる。

以前、地デジ用の室内アンテナが発売されたときに、メーカーの方に伺ったところによると「UHFのアナログ放送を室内アンテナで安定して受信できる環境なら、デジタル放送も同じように受信できる可能性が高い」とのことだ。電波を通しやすい木造住宅ならば、場所によっては室内アンテナでも受信が可能だろう。