全国に展開はされたが、その実情は?
昨年の12月1日に、全国47都道府県で地上デジタル放送が視聴可能になり、とりあえず全国のほとんどの地域(全世帯数の84%)で、地上デジタル放送の受信が可能になった。すでに、地デジ環境に移行したという人も多いのではないだろうか。もちろん、とくにデジタル放送は必要はない、アナログのままで十分という考えの人もいるだろうし、そういった人は、2011年の地上アナログ放送の停波まで、現在の受信機を使用し続けるのだろう。
そのころになれば、テレビやビデオ機器などのデジタル放送の受信機も今よりは手頃になるだろうと予想されるし、現在のコピーワンスの仕組みも変わっている可能性も皆無というわけではない。それはそれでひとつの選択肢だとは思うが、ここではそれについて深く考えることはしない。この記事は、現在、地上デジタル放送が受信できる地域にいて、できれば受信したいのだが、簡単には受信できないという、いわゆる「地デジ難民」へ向けたものだ。
「地デジのインフラ整ってますか - 意外と知られていない受信のツボ」という記事の際には、まだ、地デジの放送地域は限られており、実際に受信しているという人も、一部の新しもの好きに限られていた。が、現在では、ご存じのように状況は一変している。
ここ数年の間に、テレビやレコーダーなどの受信機に関しては一気に地デジ対応が進んだ。では、アンテナや屋内配線などの受信設備についてはどうだろうか。現在、新築の戸建て住宅では、地デジの受信設備は、ほぼ必須のものとなっている。これは、アンテナだけでなく、データ放送を受信したり双方向サービスのためのネットワーク環境についても、かなり整備が進んできているようだ。まぁ、ネットワーク環境に関しては、IEEE802.11a/gなどの無線LANを使用すれば、必ずしも有線で引き回す必要はない。帯域的にも双方向サービスなどで使用する量ならば、たかが知れている。
ただし、将来的にストリーミングでのハイビジョンコンテンツの配信などが行われるようになれば、機器の設置状況によっては厳しいことになる可能性もある。ちなみに、現状でストリーミングというと、DLNA規格に準拠した機器などが手軽に使えるが、筆者の場合、IEEE802.11gで使用していて帯域に不足を感じたことはない。集合住宅でも、新築の場合は、おおむね戸建てと同じような状況だ。