初めにプレゼンテーションを行ったのは、UDSのテーマに応募した「チーム|No|」と「栗井栄太」。UDSは、リノベーションや住宅コンサルティングを行っており、グッドデザイン賞の住宅部門など、様々な賞を受賞している企業だ。また、大阪駅の商業施設「グランフロント大阪」でカフェ運営なども行っている。

同社がテーマに掲げた「ある区域(地域)に空きスペースがあったとして、どのように活用することがその地域にとって一番役立つか。その具体的な使い方とモデルについて」は、都市計画の要ではあるが、両チームとも高校生らしからぬ具体的な提案を行っていた。

チーム|No|

初めに発表を行ったのはチーム|No|。代々木上原という住宅地にほど近い場所で、生涯学習センターになりうる"次世代型アカデミア"を構想。

全3階建てのアカデミアは、1階に喫茶店、2階に個人学習室、3階にディスカッションルームを設置。喫茶店でくつろいでもらうことで、集客を行いつつ、2階と3階への誘導を図るコンセプトを披露していた。

2階の個人学習室では、ネットを自由に利用できるだけではなく、他人との交流ができる"アカデミア内SNS"といった案を提案。オススメの教材を他人に公開したり、他人が解決できない質問などの回答を行う「知恵袋」のようなサービスも提供するという。

3階のディスカッションルームでは、壁全体をホワイトボードにすることで、議論の場を広げることが可能に。下の階の喫茶店で打ち解けた人や、個人学習室で教材などを教えてもらった人などと、すぐに議論できるとして活用できると発表していた。

質疑応答では、UDS社員から「利用シーンを綿密に考えていて良いと思った」との評価。その一方で、「生涯学習センターとしては、堅すぎる気がした」という指摘も受けていた。

栗井栄太

続く栗井栄太チームは「成城学園前駅周辺の活性化」をテーマに据えた。

同チームは、事前の情報収集として、駅利用者の男女60人にアンケートを行ったという。その結果、高齢者からは「若者がうるさい」、若年層からは「お年寄りが多くて邪魔なときがある」との回答を得たという。

そこで、街の課題として「多くの年齢層を抱えている一方で、世代間交流がうまく行っておらず、わだかまりがある」と分析。そこで、小田急線の高架下を利用した複合施設(Multi Purpose Center)の設置を提案。

高齢者には趣味や資格などを学べる場所を提供することで"生きがい"を見つけてもらうという。学生などの若年層については、学習スペースやスポーツジムなどの場を提供。こういった様々な年齢層の人が集まることで、街全体を活性化できるのではないかと考えたという。

質疑応答では「どういうビジネスになるのか」「コンセプトは良いものの、ターゲットに対してどのように訴求するのか」という厳しい質問も。これに対して学生は「賃料などの物件管理で収入を得る」「電車の高架下に設置するため、成城学園前駅の構内で告知を行う」と回答していた。