SQL Anywhereはこれひとつで非常に幅広い利用シーンをカバーしており、実際の採用事例も実に多彩だ。
たとえばある生命保険会社では、本社と代理店および渉外員が利用する顧客管理システムに同製品を採用しているという。このシステムでは各代理店ではSQL Anywhereを用いて個別に顧客情報を管理し、Mobile Linkを利用することで本社の統合サーバと同期させている。これによって大量の顧客情報を代理店を含めて全社的に統合管理できるようになったとのこと。
統合サーバにはOracleを採用し、約3万のユーザが利用するためMobile Link同期サーバを複数台用意することで負荷を分散させている。これによって処理集中時にも毎分約1,000ユーザの同期処理を実行できるという。
クライアント/サーバ型の大規模システムでは、Net Scout社のネットワーク管理パッケージ製品で採用された事例などがある。同製品では約3億件、100Gバイトクラスのデータを扱い、毎日数Gバイト以上のデータ更新が行われるという。SQL Anywhereが大容量データの管理にも適していることがよくわかる事例だ。
モバイル分野における興味深い事例としては、日本郵政株式会社の窓口システムおよび携帯システムが挙げられる。同社では2007年の民営化の折に全国22,000台の局サーバにSQL Anywhereデータベースを配備した。窓口業務端末にもSQL Anywhereを配備し、局内ネットワークに障害が発生した場合にも単独で業務を継続できるようになっているという。
さらに荷受や配達用にWindows CE 5.0を搭載した携帯端末を用意し、Ultra Lightデータベースによって情報を管理している。この携帯端末は全国で70,000台が配備されているとのこと。窓口端末や携帯端末と、局サーバ上のデータはMobile Linkによって同期される。
同様の事例に、北陸コカ・コーラボトリングのルート営業支援システムや、INAXメンテナンスの修理サポートエンジニア向け支援システムなどがある。これらのシステムでは営業担当者やエンジニアがハンディターミナルやスマートフォンを持ち、携帯電話網を介して社内データベースの情報を利用することで、業務の効率が大幅に向上したとのことである。