前述のように、SQL Anywhereの最も大きな特徴はモバイルでの使用を強く意識して作られている点である。そのため、ノートPCをはじめとして、PDAやスマートフォンなどリソースの限られたハードウェア上でも高速に動作するよう設計されているという。プラットフォームもマルチCPUや64bitプロセッサに対応し、WindowsをはじめとしてLinux、UNIX、Mac OS、Windows CEなど複数のOS上で動作する。さらに、すでに別のSQL Anywhereや他社のデータベースがPCにインストールされている場合でも競合することなく動作する。
PCなどのスタンドアロン環境で利用するということは、専門の管理者がいない状況での利用も考えられる。そのため自動チューニング機能や自動リカバリ機能を備えることにより、専門的な知識がなくても運用できるようになっているとのこと。インストールも複雑な設定なしで自動インストールが可能になっている。このことはサーバ/クライアント環境で利用する場合にも、初期投資や運用コストの削減という面において大きなメリットと言えるだろう。
SQL Anywhereはその汎用性から、さまざまなプラットフォーム、多彩なスケールで利用される。しかしどのケースでもデータ形式は共通しており、使用していたデータをファイルコピーのみでそのまま別の環境に移行することができるという。たとえばWindows CE端末で利用していたデータをLinuxサーバ上のSQL Anywhereでそのまま利用するといったことが可能である。
上記はSQL Anywhereの基本コンセプトだが、これに加えてビジネス要件に対応する機能も各種用意されている。そのひとつが暗号化オプションだ。同製品では設定の変更だけでデータをAES 256bitで暗号化することができる他、通信も公開鍵暗号化方式をサポートしている。これは個人情報保護の観点から高く評価されているという。
データやリソースの共有を謳う"クラウド"がもてはやされる一方で、「データを共有したくない、ローカルだけにもっていたい、というニーズも確実に存在する」(森脇氏) |
「個人情報保護法が施行された当初はローカルにデータを保持するべきではないという風潮が強まり、そこを得意とする弊社の製品にとっては強い逆風でした。しかし実際の現場ではローカルから完全に情報を消してしまったら業務が成り立たないことがほとんどです。そのため、ローカル側でも安全に情報を管理できる仕組みとしてSQL Anywhereを評価してくださるユーザも増えてきました。我々としては、Webかローカルかではなく共存することが可能だと考えています」(森脇氏)
その他、ミラーリングやクラスタリングといった高可用性オプション、大量データからの集計処理を高速化するマテリアライズド・ビュー、大量データ処理と参照処理の同時実効性を向上させるスナップショット・アイソレーション(読み取り一貫性)など、大規模システムでの利用に耐えられる各種機能をサポートする。また、マルチCPU環境では1つのクエリを複数CPUで並列処理するパラレル・クエリも利用可能となる。