「唯一絶対の権威が号令する」時代は終焉
インターネットそのものは、ポスト工業化社会の「脱中心化」と「断片化」という時代潮流に応じて発展してきたものである。インターネットの応用がますます広がっている今日、企業や政府は、社会全体の共通ニーズを満たすことを目指す「人民に奉仕する」段階から、個性化分散化した個人的ニーズを満たすことを強調する「特定の誰かに対して奉仕する」段階に変わってきた。
このことこそ、サーチエンジンが機械的なサービスから、個性化したオーダー制の「人肉捜索」サービスに進化したことも、底流には時代潮流の変化があり、必然的な流れなのであろう。
断片化とは、いまの中国社会のマスコミュニケーションを取り巻く象徴的なキーワードである。英語で言えば「Fragmentation」。本来連続しているものがばらばらになることを意味している。中国においても、唯一絶対の権威が「天下に号令する」時代は徐々に過ぎていこうとしているのだ。
一方、伝統的なマスコミが占める市場シェアは縮小しつつあり、その言葉の権威とコミュニケーション機能が不断に弱まってきている。これに代わり、ブログやBBSなどの新興メディアが勃興し、コミュニケーションルートが激増。膨大な情報と多種多様な意見が、中国において存在感を増しているというのが現在の社会的状況なのである。
脱中心化とは即ち、情報技術とインターネット技術の発展につれ、伝統的に特定の集団に握られてきたマスコミでの発言権が個人の手に戻されることを指す。Web2.0は中心が無くなったことを意味しているのではなく、高度集中制御から分散集中制御に変わりゆくこと。言い換えれば、中国の社会状況がいっそうフラット化し、多元化することを促進すると考えられるのである。