Mp求める賞金稼ぎの競争で人肉捜索の質が向上
その他多くのフォーラムと同じように、前述のサイト「Mop」の人肉捜索掲示板には、さまざまなテーマが出てくる。ユーザーの定着度を引き上げるため、Mopは仮想貨幣「Mp」を設定した。質問をする者はMpを懸賞代わりにして、自分への協力を奨励するわけだ。
今のところMpは具体的な報酬にはならない。Mop以外のサイトで使うこともできない。にもかかわらず、多くの人びとがMp稼ぎに夢中なのだ。ちなみに、質問に答えることによってMpを稼ぐ人は、Mopで「バウンティ・ハンター(賞金稼ぎ)」と呼ばれている。
たとえば、ある人が質問を出す場合、答えてくれたら一定のMpを謝礼にするとMopサイトの掲示板に公開する。まもなく、それを読んだバウンティ・ハンターは、サーチエンジンで質問の解答を探し、探し当てた解答を掲示板で発表、謝礼をもらおうとする。質問を出した人が解答を入手すれば、バウンティ・ハンターはMpを受け取り、めでたしめでたしというわけである。
こうして、人肉捜索エンジンのシステムができ上がったのである。面白いのは、人肉捜索エンジンのフローとサーチエンジンのそれは、実のところ非常に似ているということである。要するに、違いは検索の実行主体が人間か、マシンかだけなのだ。
同時に多くのバウンティ・ハンターが登場した場合はどうするのか。答えは簡単。競争し合うのである。ハンター同士が資料検索のスピードで競争し、資料の正確性で競争し合うのだ。
競争の結果、より早く、より正確な情報を提供するバウンティ・ハンターが、より多くのMpを稼ぐようになる。それが彼に達成感を与え、同時に、他のバウンティ・ハンターを刺激するのだ。めぐりめぐって、人肉捜索エンジンの品質が引き上げられていく、というわけである。