--日本への進出が遅れた理由はなんですか。

C: まだ創業して8年の企業ですから、ソフトやアプライアンスを提供しているセキュリティ企業に比べて歴史が浅い。しかし、日本の企業を取り巻く環境がデスクトップ上の脅威から、インターネットの脅威へと移ってきたことで、日本においても我々の優位性が発揮できるようになってきたといえます。

S: 日本法人の設立は、2007年8月でしたが、日本ではすでに4年以上に渡って、グローバルパートナーである日本IBMとベライゾンを介して展開してきた実績があります。すでに120社への導入実績があります。

日本支社長 山本誠治氏

Y: 日本では大手企業への導入が多く、金融、食品、素材、建設、商社など、業種は多岐に渡っています。導入している企業名は、契約の観点から公表できませんが、どんな人でも知っているような企業が入っています。

S: 20社のなかには、日本で時価総額でトップ5に入る企業が2社ある。また、従業員数1万以上という企業も10社あります。日本法人を設立し、日本市場に本腰を入れて参入したのは、日本におけるセキュリティに対する需要が増えていることが理由です。では、なぜ需要が増えているのか。それは、日本におけるスパムやウイルスの問題が急増しているからです。もともと、日本の市場は、ウイルスやスパムの量は、欧米ほど多くはなかった。ワールドワイドではメールの74%がスパムと言われていますが、日本の場合はそこまでひどくはない。しかし、日本だけが特別という状況ではなくなってきたことは事実です。日本における脅威の量が増え、脅威そのものの複雑性も増している。そして、同時に、ソフトやアプライアンスによるセキュリティ対策では十分ではないこと、限界に達していることに、企業が気がつき始めているのではないでしょうか。

とはいえ現在は、アーリーアダプタが当社のソリューションの優位性や良さを理解して、先んじて導入している段階であり、クリティカルマスが使うという段階には入っていません。当社の組織としても日本法人を設立したことで、基盤が固まり、成長への備えができている段階です。

--日本における当面の目標はどこにおきますか。

C: 日本の企業に対しても、英国や米国の企業と同じレベルのサービスを提供することが、私たちの使命です。また、英国や米国と同じように"強い状況"を日本でも確立したい。日本には私どものデータセンターがありませんが、次のデータセンター建設を考えれば、当然、日本が検討対象地域に入ります。私は、日本市場を重要市場のひとつだと考えており、重点的に投資していくことを検討しています。市場規模が大きく、国際的企業も多い。また、日本の企業は、セキュリティに対して求める基準が高いことでも有名です。これは、むしろ我々にとってはプラスです。日本で成功すれば、どの国にいっても品質面で評価されることになります。今後1年で、日本法人のスタッフを、現在の4倍となる20人体制とし、ローカルで顧客をサポートする体制や、技術や製品をローカルのものとして提供できる体制を確立したい。

S: 当面の目標としては、まずは日本の著名な企業の事例を公開し、そのメリットをわかりやすく広げていきたい。英国やオーストラリアでは、この分野において、2/3の市場シェアを持っていますが、最終的にはこれと同等のシェアを狙う。私は、今後5年のうちに、ほとんどがマネージドサービス型、あるいはSaaS型と呼ばれるソリューションに移行すると考えており、その時には、メッセージラボのサービスをぜひ使ってもらいたいと考えている。SaaS型への移行というトレンドは、グローバルで起こっている事象です。多くのメリットがあるサービスであることを、メッセージラボ自らが実証していく必要があると思っています。

Y: 日本の企業は、ドメインの多くがco.jpです。ところが、海外現地法人では、.comなど別のドメインを使用している。メッセージラボでは、co.jpでも.comでも、日本で一元的に管理し、同一レベルのサービスを利用できる。日本発のグローバル企業には最適なサービスだといえます。