これまで紹介したのはヒューマノイドリーグのKidSizeクラス(身長60cm以下)であるが、同リーグにはより大型のTeenSizeクラス(身長80cm以上)もある。じつは昨年の国内大会にもクラス自体はあったのだが、申し込みがTeam OSAKAだけだったため、競技にはならなかったという事情がある。しかし、今回はこちらにもはじめロボットが参戦し、PK戦が実現することになった。
巨大(?)ロボット対決
Team OSAKAの機体は「Vstone810」と呼ばれるもので、身長は(低いほうの)規定ギリギリの80cm。メインCPUとサブCPUは、どちらもKidSizeクラスのVisiON 4Gと同じになっている。特徴としてはスピーカが搭載されていることが挙げられ、歩くときにはここから"ガシャンガシャン"というロボット音がするという仕組み。これはロボットに「存在感を持たせるため」だとか。
一方、対するHAJIME TEAM(はじめ研究所)は「はじめロボット25号機」。下半身のサーボモーターはマクソン製で、これが強力なためか、歩行時に「ズシンズシン」とものすごい地響きがしていた。身長は95cmくらいとかなり大きいが、こちらも制御ボードはKidSizeクラスの18号機と共通化されており、同じプログラムで動いているのだという。ちなみに、7月の世界大会用に「28号機」も開発中なんだそうだ。
まずはテクニカルチャレンジ
このTeenSizeクラスでは、3日間で「テクニカルチャレンジ」と「PK」の2種目が行われた(このクラスでは、さすがにまだ2on2はない)。テクニカルチャレンジは、初日に「障害物回避」と「ドリブル」、2日目に「徒競走」が実施されており、さながらロボットの身体能力検査(トライアウト?)といった感じになっている。
障害物回避は、黒い円柱の間をうまくすり抜けて、ゴールまで辿り着くという競技。これはKidSizeクラスでも行われていた競技なのだが、画像認識が思ったよりも難しいようで、円柱に激突するロボットが続出していた。TeenSizeクラスでは、Team OSAKAが25秒、HAJIME TEAMが1分18秒でクリア。ドリブルはTeam OSAKAのみが挑戦しており、4分31秒という結果だった。
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徒競走については筆者は見ていなかったのだが(他リーグの取材をしていたため)、こちらは運動能力に優れるはじめロボットが一矢報いた形になった。フィールドの短辺を使った競走になっており、ベストタイムはTeam OSAKAが16秒75、HAJIME TEAMが13秒69だった。しかし、3競技の合計ポイントにより、テクニカルチャレンジ1位の座はTeam OSAKAが勝ち取った。
まったり気味ながら……
TeenSizeクラスの今年の目玉は、最終日に行われたPK戦である。「こんな大きなロボットで本当にボールが蹴れるの?」という疑問もあったのだが、実績のある両チームだけに、ちゃんとゲームになっていたのは驚きである。
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さすがにKidSizeクラスのようなキーパーの横っ飛びなどはなく(こんな大きさでやったら壊れてしまう)、シュートもゆっくりしたものであるが、どちらも転ばずにシュートできていた。今年はまだ厳しかったかもしれないが、数年以内に「2on2もできるのでは?」と期待させる完成度だった(2体も用意するのは予算的には大変かもしれないが)。
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試合は、2回連続で失敗してしまったTeam OSAKAが、その後3本を立て続けに決めて、3-2で勝利。最初の2回はボールがキーパーの正面に行ってしまったが、これはプログラムにミスがあったためとのことで、すぐに修正してその後のゴールに結びつけた。はじめロボットも実力的には全く見劣りせず、紙一重の勝負だった。