法改正の概要と期待
小林:割賦販売法が改正されたということですが。
藤木:一昨年の12月に法律が改正されて、現在その法律を施行するための準備をしています。今年の6月に改正法が施行されます。法改正ポイントの1つはクレジットカード情報の漏洩、不正使用というようなものを防止するための措置の強化です。不正使用のようなことをする国際的な集団がいてそういう集団はセキュリティの弱い国を狙ってきます。
小林:日本もセキュリティの弱い国なのですか。
藤木:その恐れもあると思っています。例えばヨーロッパではさきほど申しましたようにキャッシュレス決済が増え、かつクレジットカードのIC取引が進んでいるという中で、カードの不正使用が難しくなっている。ヨーロッパで不正使用ができなくなるとアメリカでやる。アメリカでできなくなると今度はアジアだ。一番弱いところはどこだというふうにやってきますので、日本が「セキュリティホール」にならないというための措置をしっかりとしていく必要があると思います。特に国際的にみて遅れているクレジットカードのIC取引を進めていくというのが重要だと思っています。
それから法改正のもう1つのポイントは、昔はクレジットカードを発行する会社と加盟店を募集する会社が同じであることが多かったのですけれど、別々であることが普通になってきたことがあります。そうすることによって実際にカードが使える範囲が広がってくる。より多くの加盟店で使えることになる。これはこれでメリットがあります。それでは個々の加盟店を誰が管理しているのか。多数ある加盟店の中には、例えば個人情報の管理がルーズであるとか、あるいは不正利用が多い店などがどうしても出てくる。そういう店について、誰かがきちんと管理し、こういう改善をしなさいという指導ができる体制を整えないと我々は安心してカードが使えません。そこで加盟店を募集し管理する会社、これをアクワイアラーと言いますが、これに登録制度を設けて、一定の義務を負っていただくという制度改正を行うことになっております。
小林:他にも改正したことがありますでしょうか。
藤木:アクワイアラーの登録制度を設けて、加盟店の調査とか管理をしていただくというしくみをつくるとともに、加盟店にもお客さんの使ったクレジットカード番号をきちんと管理してくださいとか、あるいは不正使用を防止するためにICチップを読み取れる端末を導入するというように適切な運用をしてもらうということを義務付けました。また最近、決済代行業者というアクワイアラーと加盟店の仲立ちをする会社が出てきていますけども、このような方々についてもアクワイアラーと同じ資格で登録を受けられるしくみをつくりました。
小林:法改正ではどのようなことを期待したいですか。
藤木:さきほど申し上げたキャッシュレス化の推進にあたって、安全・安心が基礎だと思っています。その意味では今回の改正でクレジット会社は、加盟店をしっかり管理する、加盟店側にもしっかり対応する基盤が整います。カードの不正利用あるいは個人情報の漏えいということがないようにすることが今回の改正の主眼とするところで、その基盤の上に立ってキャッシュレス化をどんどん進められていくことを期待します。