Skylake+Intel Z170 Expressのシステムで検証
今回のテスト環境は以下に示した通りで、CPUに「Intel Core i7-6700K」を、マザーボードにASUSの「Z170-A」を利用した。Z170-Aは、インテル最新チップセットのIntel Z170 Expressを搭載したマザーボードで、PCI Express 3.0 x4対応のM.2スロットを備えている。ベンチマークテストは、Samsung製NVMeドライバの正式版を導入した状態で行った。
参考として、同じ環境で「Samsung SSD 950 PRO 256GB」および2.5インチSATAフォームファクターのSSD「Samsung SSD 850 EVO(1TB)」でもベンチマークテストを実施している。
Samsung SSD 850 EVO 1TBは、コストパフォーマンス重視のメインストリーム向けSSDであり、ハイエンドモデルであるSamsung SSD 950 PROとはカテゴリーが異なるが、SATA 3.0対応SSDとしては最速に近い製品なので、参考になるだろう。
なお、Samsung SSD 950 PRO 256GBについては、以前のレビューでも同じハードウェア環境でベンチマークを行っているが、以前の検証時はNVMeドライバがβ版であったため、今回正式版で計測し直すことにした。
■今回のテスト環境
CPU : Intel Core i7-6700K(4GHz)
マザーボード : ASUS Z170-A(Intel Z170 Express)
メモリ : DDR4-2333 16GB(8GB×2)
グラフィックス : Radeon HD 7770
システムドライブ : Western Digital WD10WADS(1TB)
OS : Windows 10 Pro 64bit
CrystalDiskMark 5.0.2でシーケンシャルリード速度2,601MB/秒を記録
最初は、定番の「CrystalDiskMark 5.0.2」の結果を見てみよう。Samsung SSD 950 PRO 512GBのシーケンシャルリード速度は2,601MB/秒であり、公称値の2,500MB/秒を上回る驚異的な速度を叩きだした。Samsung SSD 950 PRO 256GBのシーケンシャルリード速度も2,303MB/秒と非常に高速であり、こちらも公称値の2,200MB/秒を上回っている。それに対し、Samsung SSD 850 EVO 1TBのシーケンシャルリード速度は554.9MB/秒であり、Samsung SSD 950 PRO 512GBとの差は、約4.7倍にもなる。ここがSATA 3.0(6Gbps)の限界であり、NVMeとの違いだ。
また、Samsung SSD 950 PRO 512GBのシーケンシャルライト速度は1,539MB/秒という結果で、こちらも公称値の1,500MB/秒をわずかに上回った。Samsung SSD 950 PRO 256GBのシーケンシャルライト速度も946.2MB/秒であり、やはり公称値の900MB/秒を上回っている。比較のために用意したSamsung SSD 850 EVO 1TBのシーケンシャルライト速度は523.1MB/秒なので、Samsung SSD 950 PRO 512GBは約2.9倍も高速だ。
Samsung SSD 950 PROはシーケンシャルだけでなく、ランダムアクセス速度も高速である。Samsung SSD 950 PRO 512GBの4KB(Q32T1)ランダムリード速度は796.1MB/秒、ランダムライト速度は428.8MB/秒、Samsung SSD 950 PRO 256GBの4KB(Q32T1)ランダムリード速度は769.4MB/秒、ランダムライト速度は335.4MB/秒であった。なお、Samsung SSD 850 EVO 1TBの4KB(Q32T1)ランダムリード速度は376.4MB/秒、ランダムライト速度は344.2MB/秒と、Q32T1でのランダムリードはSamsung SSD 950 PROが2倍以上高速であるが、ランダムライトはそれほど差がない。
マルチスレッド環境でもっと高速になる
さらに、CrystalDiskMarkの設定を「Q32T4」に変更して計測を行ってみた。TはThreadを表しており、T4では同時に4つのスレッドを生成してディスクにアクセスを行う。
結果は下に示した通りで、4KBランダムリードの値が大きく向上している。Samsung SSD 950 PRO 512GBの場合、Q32T1での4KBランダムリード速度は796.1MB/秒であったが、Q32T4では1,301MB/秒へと約1.6倍もの上昇を見せた。Samsung SSD 950 PRO 256GBの場合は、Q32T1での4KBランダムリード速度は769.4MB/秒、Q32T4では1,145MB/秒へと約1.5倍のアップ。しかし、SATA 3.0対応のSamsung SSD 850 EVO 1TBでは、Q32T1での4KBランダムリード速度が376.4MB/秒だったのに対し、Q32T4での4KBランダムリード速度は394.6MB/秒と、5%程度の上昇にとどまった。
Samsung SSD 950 PROがサポートしているNVMeは、キューの数が従来の1から最大64,000に増加しており、マルチスレッド環境でのパフォーマンスを最大限に引き出せるのだ。実際にPCを使うときは、複数のアプリケーションを同時に立ち上げて利用することが多いし、アプリケーションを1つしか起動しなくても、OS自体がマルチスレッド化されている。よって、NVMeに対応したSamsung SSD 950 PROは、実環境における快適さの大幅な向上が期待できる。