ニコンからデジタル一眼レフカメラ「D700」が発売された。「D300」クラスのボディに、プロ用モデル「D3」と同じタイプのフルサイズ撮像素子を搭載した意欲的なモデルである。発売は7月25日。価格はオープンだが、発売日現在、D700(単体)が約32万3,000円、レンズキットが約39万9,000円で販売されている(いずれもマイコミジャーナル価格情報の平均価格)。
コンパクトなままフルサイズを使いたい
「D700」の登場は少々予想外でもあった。ニコンから次にどんな一眼レフが登場するかは常にあちこちで噂されているが、だいたいは「D80」の時期モデル(予想呼称:D90)か、「D3」の高画素モデル(予想呼称:D3X)だろうと考えられていた。そこにD700が登場したのだから少々驚いた。それだけフルサイズ撮像素子を求める市場の声が強かったのだろう。
D700に搭載される撮像素子は、36.0×23.9mmのCMOSセンサー。ニコンで言うところの「FXフォーマット」である。有効画素数は1287万画素。センサーのサイズ、画素数ともにD3とまったく同じ。D3の高感度撮影もそのまま受け継がれ、常用感度はISO 200~6400、増感モード(Hi 2)ではISO 25600相当、減感(Lo 1)ではISO 100相当という、非常に広い撮像感度を備えている。
連続撮影はD3が最高秒9コマなのに対し、D700は秒5コマと差が付けられている。しかしマルチパワーバッテリーパック、いわゆる縦グリップの「MB-D10」を装着すると、最高で秒8コマまで高速化できる仕組みだ。これは悩みどころだ。せっかくコンパクトなボディ(といっても軽くはないが……)にフルサイズ撮像素子を得たのだから、縦グリップでわざわざ大きくせず、コンパクトなまま使ったほうがいいという考え方もありだと思う。ちなみにD3の重量は約1240g、D700は約995g。縦グリップ「MB-D10」の重さは公表されていないが、だいたい250g程度らしい。するとD700+MB-D10でほぼD3の重さと等しくなる(重さはすべてバッテリー別)。
D3との機能面の違いで特筆すべきは撮像面についたゴミをふるい落とす「イメージセンサークリーニング機能」を装備したことだ。同機構は撮像素子の小さな(DXフォーマット)のD300には搭載されたが、D3では見送られた。つまり、ニコンのフルサイズとしてはD700が初搭載となる。
ファインダーはD3に近いが、ちょっと違う
D700のボディは、当たり前とはいえD300によく似ている。しかし上のペンタ部だけはD3のように大きく盛り上がっている。ファインダーの接眼部もD3と同じ丸型だ。撮像素子が大きいのだから、ペンタプリズムなどもそれなりの大きさが必要になるはず。極論すれば、D300のボディにD3の撮像素子とファインダーを組込んだのがD700と言えなくもない。
AFポイントもD3、D300同様に51点式で配置はD3同様。中央にかたまって置かれているが、もっと周辺まで分散させたほうが良いと思う。視野率はD3がプロ機らしく100%だが、D700では95%になっている。その代わりというわけではないだろうが、ファインダー倍率はD3の0.7倍に対し、D700では0.72倍と少し広がっている。ファインダーは完全にD3と同じというわけではないようだ。
モニターにリアルタイムの像を表示するライブビュー機能も搭載している。オートフォーカスもD3と同じ位相差式(手持ち撮影)とコントラスト検出式(三脚撮影)から選択できる。また、D3ではユニークな水準器機能が搭載されていたが、これがライブビューでも使えるようになった。なかなか便利な機能だ。
D700がD3と大きく違う点のひとつは、ボディ単体発売のほかにレンズキットが用意されていること。セットになるレンズは「AF-S VR Zoom-Nikkor ED 24-120mm F3.5-5.6G(IF)」。これの描写については別の記事にまとめた。