広くて見やすいファインダー
D700のファインダーはすばらしく快適である。広くて見やすい。さすがフルサイズ撮像素子を採用しているだけのことはある。実測したところ、対角で約27.8度の画角だった。D3の約28.7度よりも若干狭いが十分に広い。D3との違いは視野率などが関係しているのだろう。視野率はD700が95%なのに対し、D3はプロ機らしく100%を実現している。
いまひとつのフォーカス性能。個体差か?
フォーカス性能については、首を傾げざるを得ない結果になった。まず、いつものAFポイント中央固定で行なうテストでは、グラデーションや斜線ターゲットでまったくピントが合わなかった。おおむね斜線は苦手なので合いづらいカメラも少なくないが、グラデーションを含めまったく合わないというのは記憶にない。フォーカスが合うのなら速度はかなり速いのだが。
テストしたというわけではないが、窓にかかっているブラインドに向けた場合、中央のAFポイントなら問題ないが、それ以外のAFポイントにすると合わないということもあった。ライブビューのコントラスト検出では問題なくピントが合った。ちなみにライブビューのコントラスト検出は、合焦速度そのものは速くない。しかしピント合わせのたびに全域を走査することはないので、一旦合わせてしまえばストレスは感じない。
ブランコ撮影は中央シングルが快適
ブランコの連写テストは、「AFエリアモード」3種で試してみた。D700には「シングルポイント」(中央1カ所)、「オートエリア」(全点使用自動)のほか、指定したAFポイントだけでなく、その周囲のポイントを補助的に使ってピントを合わせる「ダイナミック」の3種のAFモードがある。動くものには「ダイナミック」が似合いそうだ。
しかし結果は、ブランコには単純な「シングルポイント」のほうが相性がいいようだ。「ダイナミック」ではブランコが近づくときにはいいのだが、離れ始める際に遅れることが多かった。回りのAFポイントが何か誤った情報を流しているのだろうか。「オートエリア」では背景にピントが取られやすい。これは他のカメラでも同じ傾向にある。
また、セットレンズの「AF-S VR ED 24-120mm F3.5-5.6G」のほかに、「AF-S 24-70mm F2.8G」でも試してみたが、24-70mmのほうがピントの追従は上だった。ブランコが戻る際の「ダイナミック」での遅れもずいぶん少なかった。
VR 24-120mmでブランコを撮影。左から「シングル」「ダイナミック」「オートエリア」の各AFエリアモード。シングルとダイナミックのAFポイントは中央固定 |
24-70mmを使用し、上と同じように撮影。左から「シングル」「ダイナミック」「オートエリア」の各AFエリアモード |
高い解像力。一部で色収差が発生
D700の解像力は高い。むりやりエッジを強調しているわけではなく、ポテンシャルの高さが解像力に表われている感じが好ましい。VR 24-120mmと24-70mmの両方で解像力チャートを撮影したが、どちらも最高は1,900TV本程度。24-70mmのほうが少しクリアに解像するようだが、それほど大きな差があるわけではない。
絞りの違いによる傾向は、どちらのレンズでもほぼ同じだった。テレ端ではF11、F16あたりでもっとも解像感が高く、F22まで絞ると回折のためか、少し緩くなってしまう。とはいえ、絞りによる差はわずかだ。ワイド端ではさすがに絞り開放で画質が落ちる。絞っていくとF5.6以上で安定するようだ。
気になったのは、一部の絞り値で強い色収差が現れたこと。VR 24-120mmのテレ端はF16で、24-70mmはF11とF16で、エッジ部分に赤や青の色が浮かんだ。特に周辺部分で顕著に現れる。もっとも像がシャープになるところで見えてしまうのかと思ったが、24-70mmはワイド端のF2.8、F4でも発生した。
VR 24-120mmを使い解像力チャートを撮影した。左は絞り開放(F5.6)、右はF11 |
24-70mmで撮影。左は絞り開放(F2.8)、右はF11 |
VR 24-120mmのワイド端で撮影。F5.6程度まで絞るとシャープになる。これは撮影距離が正しくないので、あくまで参考として見てほしい |
一部の絞りで赤や青の色収差が発生した。こういった収差は珍しくはないが、特定の絞りで発生したのが不思議 |
相変わらず驚きの低ノイズ性能
D3でも感動したが、D700のノイズ特性もやはりすごい。ISO 1600まではほとんどノイズらしいノイズは見られず、ISO 3200で、それまでフラットだった部分がサラッとしてくる程度。ここまでは常用してまったく問題ない。ISO 6400では少々ざらつきとコントラストの低下が見られるが、たいしたことはない。
それと、ニコンの真面目さにも改めて感心する。他メーカーなら「Hi 1」、「Hi 2」をそれぞれISO 12800、ISO 25600と表記することもあるだろうが、ニコンはあくまで「増感」としている。潔い。ノイズはそれなりに発生するが、いざとなればそこまで使えるという安心感がある。
また、「高感度ノイズ低減」も合わせて装備する。「しない」「弱め」「標準」「強め」の4段階だが、初期設定は「標準」になっている。強くするとノイズが減る代わりに、像のエッジが緩くなる傾向にある。「標準」のままがいちばん使いやすく感じた。
D700(とD3)の低ノイズ特性は、高感度で撮影できるというメリットももちろんあるが、それ以上に"ISO感度を気にせず使える"点が大きいと思う。フィルムでは低感度のものに独特の発色や階調特性を持つものがあったが、デジタルではノイズの有無でしか違いはない。であれば、ISO感度などはノイズの出ない範囲で自由にさせておき、表現手段である絞りとシャッター速度に注力したい。D700はそんなデジタルの理想の使い方に近づいたカメラといえる。
撮像感度の設定メニュー。標準では最低でISO 200。減感の「Lo 1」でISO 100相当になる |
同じく高感度側。「Hi 1」がISO 12800相当、「Hi 2」がISO 25600相当 |
高感度撮影時のノイズ低減機能。初期状態では「標準」になっている |