情報表示画面の下段からメニューにジャンプ
約92万ドットのモニターは屋外でもとても見やすく、視野角も十分に広い。このモニターを利用した撮影情報表示ももちろん可能だ。D700ではここから各種設定もできるようになった。
まず「Info」ボタンで撮影情報が表示される。この状態で露出補正や感度変更を行なうと、情報表示も他の文字が薄くなり、設定中の値だけが見やすくなる仕組みだ。また、標準状態では青地+黒字で表示されるが、暗いところへ行くと自動で黒地+白字に切り替わる。これは親切。どちらかに固定もできる。ただ、この黒地+白字は暗い場所専用のようで、非常にコントラストが低く設定されている。個人的には屋外でも使えるような、コントラストのはっきりした黒地+白字がほしいと思った。
さて、この情報表示画面から再度「Info」ボタンを押すと、撮影メニューやカスタムメニューが直接呼び出せるのが新しい。下のほうにブロック状に並んだエリアがそれに相当する。各ブロックから吹き出しが立ち上がり、何が選択されているかがわかる。ここで「OK」ボタンを押すと各設定メニューが開く。設定メニューは「MENU」ボタンからのメニューと変わらず、いわゆるショートカット的なもの。しかしちゃんとマルチセレクターの左で情報表示画面に戻ってこられる。ここから設定できるのは「撮影メニュー切り換え」「高感度ノイズ低減」など10項目。やっと「ピクチャーコントロール」や「アクティブD-ライティング」にも光が当てられたようで喜ばしい限りだ。
しかし、こういったショートカットメニューは使用頻度の高いものと相場は決まっているのだが、なぜか一度設定すればあまり変える必要がなさそうな「プレビューボタンの機能」や「ファンクションボタンの機能」が含まれているのは不思議だ。「色空間」もどうか。sRGBとAdobeRGBを頻繁に切り換えるだろうか。いっそのことカスタムできるようにしたほうがいいのではないか。例えば「ヴィネットコントロール」や「露出ディレイモード」なども、人によっては多用するだろう。もしくは「マイメニュー」と連動させるという手もあると思う。
もうひとつの希望は、メニューの深いところを登録できるようにしてほしい。「ピクチャーコントロール」でも、「スタンダード」「ニュートラル」などの種類はそのままで、コントラストだけ上げたいということがよくある。しかしそのためにはメニューを順繰りに辿っていかなければならない。ホワイトバランスの微調整なども同様だ。特にニコンのメニューは深いと感じるので、これら枝葉の機能も直接呼び出せるようにすると、もっと便利になると思う。
情報表示画面。下部の2段になったところは、ここから直接設定メニューにジャンプできる |
感度や露出補正などは、操作に合わせてモニターにも数値が表示される |
暗い場所でのモニター表示。自動で切り替わるが、固定することも可能 |
情報表示から「Info」ボタンを押すと、設定メニューにジャンプできる。これは上段 |
こちらは下段のメニュー。ボタンへの機能割りつけまで入っているのが不思議 |
情報表示からジャンプするのは通常の設定メニュー。ちゃんと情報表示画面に戻れる |
ライブビューは使いやすくなったが、しわ寄せが…
ライブビューはボタンひとつで呼び出せるようになった。D3やD300では左肩のレリーズモードダイヤルを「LV」に合わせ、さらにシャッターボタンでライブビューに切り換えるという動作が必要だった。これは面倒というよりも、シャッターボタンを何度も押さなくてはならず、繁雑に感じさせる要因になっていた。
D700では、カスタムメニュー「f5」のファンクションボタンの機能設定で「ライブビュー」を選択しておけば、ボタンひとつでライブビューに切り替わる。これはいい、というか、シャッターボタンで起動するのはやはりヘンだ。ちなみにファンクションボタンだけでなく、プレビューボタン(カスタム f6)、AE/AFロックボタン(カスタム f7)などにもライブビューの起動が割り当てられる。"ライブビュー起動は背面ボタンで行ないたい"というなら、AE/AFロックボタンに割り振ればいい。
ライブビューのオートフォーカスは、D3同様に位相差式(手持ち撮影)とコントラスト検出(三脚撮影)のどちらかが選択できる。D3とは違い、D700では撮影後にはちゃんとライブビューに戻ってくる(起動をファンクションボタンなどに割り振った場合)。これでずいぶんフィーリングが違っている。ただし位相差式では、合焦してもAFポイント枠がグリーンにならない。
トータルではコントラスト検出のほうが使いやすく感じた。フォーカス速度は速いとはいえず、フォーカス時にレンズからカカカカという作動音(AF-S 24-70mm F2.8G)が聞こえるのが若干不快ではあるが、合焦精度は高いし、拡大してピントが確認できるのもいい。ちなみにコントラスト検出でのフォーカス合わせはシャッターボタンでなく、「AF-ON」ボタンを使用する。
また、ライブビュー時にも水準器が表示できるようになった。これはとても便利。傾いていると線がイエローで、水平になればグリーンに変化する。縦位置でもちゃんと機能する。光学ファインダー内にも水準器は表示できるが、やはりモニターをいっぱいに使った表示のほうがわかりやすいと思う。ただし、拡大してピントを合わせているときは、水準器表示はできない。
気になったのは、ライブビューから画像再生に切り替わらないこと。これはD3などでも同じなのだが、D3ではワンカット撮影するとライブビューが終了するため、そこから再生ボタンを押せば違和感なく画像が再生できた。D700でファンクションボタンにライブビューを割り当てると、撮影後に画像を表示し、ライブビューに帰ってくる。そこで画像を確認しようと再生ボタンを押すと、モニターの明るさ設定が起動してしまうのだ。画像確認のためにはライブビューを終了しなければならない。
ニコンの場合、先に記した情報表示画面からの機能設定もそうだが、何か新しい機能を入れるとどこかに無理が出てくることが多い。一度取り入れた操作をむりやり守ろうとする傾向も見える。「押しながら回す」のように何年もかけて確立した操作方法は大切に守ってほしいと思う。しかし新しいデジタル関連の操作系はまだ答えは出ていない。「シャッターボタンでライブビュー起動はおかしい」と思ったら、次には止めてしまうぐらいの判断があってもいいのではないかと思う。
常に撮像素子とモニターを使うライブビューでは、バッテリーの消費も早い。D3ではバッテリーが大きい(EN-EL4a、2500mAh)ので多少融通が効くが、D300系のバッテリー(EN-EL3e、1500mAh)を使うD700でライブビューを多用するなら、予備バッテリーを用意しておきたい。D700でメニュー操作やライブビューをチェックしていたところ、バッテリーインジケーター1個減の状態から、2時間弱で残り1個になってしまった。
ライブビュー。1カット撮影したらちゃんとライブビューに戻ってくるようになった |
わかりづらいが、「リレーズモード」では連写などを設定する |
「手持ち撮影」は位相差式AF、「三脚撮影」はコントラスト検出式AFのこと |
位相差式のライブビュー画面。光学ファインダーと同じ枠が現れる |
コントラスト検出での画面。AFポイントは画面の端から端まで好きなところに置ける |
ピントが合うと、AF枠がグリーンに変わる。ライブビューは電池の消費が早いので注意 |