ピクチャーコントロールはスタンダードかニュートラル
D700にはニコンの新しいカラーモード「ピクチャーコントロール」が搭載されている。モードは「スタンダード」「ニュートラル」「ビビッド」「モノクローム」の4種類。標準は「スタンダード」だが、これもずいぶん鮮やかだ。好みもあるが、「ニュートラル」を常用してもいいだろう。「ビビッド」はかなり派手で、彩度の高い被写体は簡単に張りついてしまう。よほど色のないシーンか、何か表現を狙う場合以外は、あまり使わないほうがいい。
他メーカー同様、コントラストや彩度が調整できる。ユニークなのは「クイック設定」だ。これは各パラメーターをまとめて強弱するもの。個別に設定している時間がない、わかりづらいといった場合に重宝する。もうひとつ、調整時の「グリッド表示」もいい。これはコントラストと彩度を軸に、各モードをグラフ化したもの。全体でどのあたりに位置するかがひと目でわかる。
ピクチャーコントロールを変更して撮影。左からスタンダード、ニュートラル、ビビッド、モノクローム |
同じく、ピクチャーコントロールを変更して撮影。左からスタンダード、ニュートラル、ビビッド、モノクローム |
アクティブD-ライティングはもうひとつの露出
「アクティブD-ライティング」は白飛びや黒つぶれを抑える機能。後処理を行なうために記録に若干時間がかかるが、魅力的な機能である。実際に試すと、明るい側を抑える効果よりも、暗い側を持ち上げるほうが主のように感じられる。これはかなり効果がある。特に「強め」にすると、見えなかった暗部がずいぶん見えてくる。ただし、軽い感じになることもあるので、シーンを選んで使いたい。
木陰でアクティブD-ライティング(ADL)を変更して撮影 |
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ADL: しない |
ADL: 弱め |
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ADL: 標準 |
ADL: 強め |
ADL: オート |
まだ見えないニコンの絵づくり
絵づくり全体だが、基本的にD3やD300路線を踏襲しているようだ。基本的に彩度、コントラストが高めで、インパクトの強い絵になる。露出が適正ならば、描写もすばらしくいい。細部のディテールまで再現する。
ただ、気になるところもある。まずは白飛びが早めに起る、もしくは白っぽくなる傾向にあること。全体に暗めでコントラストが低いシーンならものすごくきれいに描写するのだが、全体に明るいとかコントラストが高いシーンでは、なんとなく白っぽくなってしまう。もちろん露出補正で多少は補えるのだが、今度は暗い部分が見えなくなっていく。もうひとつ気になるのは緑色が軽いこと。彩度の高さとあいまって、緑が浮きぎみになる傾向があるようだ。セッティングを詰めれば改善されるのかもしれないが、今回はそこまで調整する時間がなかった。
正直なところ、D3/D300以降、ニコンの絵がどこに行こうとしているのか、個人的にはまだ見えていない。他メーカーのものは、キヤノンをはじめ、ソニーもオリンパスも、どういう絵をもってきれいと考え、そこに向けてどの程度絵づくりしているのか、だいたいはわかる。好き嫌いやレベルはあるにせよ(例えば、初心者向けのわかりやすい絵づくりなど)、どれも理解はできる。
以前のニコンの絵は好きだった。ゆるい中にも芯があり、濁っていると言われながらも張りつかせない、汎用性の高い絵だった。D200など、セッティングを少し詰めれば、ものすごく自然できれいな絵を見せてくれた。D700はそこからずいぶん遠いところへ来てしまった。私の認識不足、勉強不足であればいいと思うのだが。