2024年12月21日、22日に対戦格闘ゲーム『ストリートファイター6(スト6)』のチーム対抗プロリーグ「ストリートファイターリーグ:Pro-JP 2024(SFL)」のプレイオフが開催されました。

SFLは、2024シーズンから「DIVISION S」「DIVISION F」に分かれ、それぞれ6チーム、計12チームが参加。プレイオフでは、2つのDIVISIONからそれぞれ上位3チームが集結し、リーグ優勝を目指して対戦します。無観客ながらオフラインで開催し、その様子はZAIKOにて有料配信されました。

プレイオフに出場したのは、「DIVISION S」1位の「Good 8 Squas(G8S)」、2位の「FUKUSHIMA IBUSHIGIN (IBSG)」、3位の「Saishunkan Sol 熊本(SS熊本)」、「DIVISION F」1位の「REJECT(RC)」、2位の「Crazy Raccoon(CR)」、3位の「広島TEAM iXA(iXA)」。前シーズンまでは1リーグ制で、プレイオフも2試合だけ、1日1試合だけでしたが、今シーズンは1日2試合の2日間で行われました。

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    「SFL2024プレイオフ」の様子をレポートします

プレイオフは、2位と3位のチームで対戦し、勝利チームが1位のチームと対戦する変則トーナメントです。それぞれの試合は70ポイントを先に取ったチームの勝利。試合はリーグ本節と同様に先鋒、中堅、大将の3選手による星取戦です。先鋒、中堅は勝利チームに10ポイント、大将戦は20ポイント入ります。大将戦までの3試合を1巡とし、そこで決着がつかない場合は、2巡目、3巡目に入ります。

1巡目はリーグの結果が上位のチームがホームスタート。2巡目移行はホームとアウェイが入れ替わります。アウェイ側は先に3選手分のオーダーを提出し、ホーム側はそれに対して、1人ずつ対戦前にオーダーを発表します。つまり、ホーム側は相手の出方をみて、相性のいい選手やキャラクターを出せるので、優位な立場と言えます。

また、本節では大将戦終了後20-20の同点になった場合、延長戦に入りますが、プレイオフの場合は延長戦がなく、そのまま次の巡目に移行します。

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    DIVISION SとF、それぞれ2位と3位が戦い、その勝者が1位と戦います

プレイオフの見所は、本節終了から約1カ月の準備期間があり、対戦相手の対策ができる点です。また、短期決戦のため、本節とは違う戦い方も求められます。そして、12月2日には『スト6』のアップデートで、キャラクターの調整が行われました。強すぎる技の見直し、使用頻度の低い技の使いどころを増やすなど、かなり細かい調整がされており、キャラクターによっては、これまで通りの戦い方ではなく、調整後の戦い方を模索する必要もでてきます。

Day1「DIVISION S」

Day1は「DIVISION S」のプレイオフです。なお、試合開始前にリーグ本節における各個人賞が発表されました。受賞者は下記の通りです。

ドライブインパクト賞:立川選手(名古屋NTPOJA)/11回
最高勝率賞:ぷげら選手(G8S)/83.3%
最多獲得ポイント:ももち選手(忍ism Gaming)/110ポイント

Day1のMATCH1は、IBSG対SS熊本です。SS熊本は先鋒にふ~ど選手、中堅にウメハラ選手、大将にひぐち選手のオーダーで挑みます。これに対して、IBSGは先鋒にエースの翔選手を持ってきますが、返り討ちにあってしまいます。大将のササモ選手もひぐち選手に敗れ、ホームスタートながら10-30のビハインドを背負って2巡目に入ります。

2巡目は先鋒のcosa選手がふ~ど選手を退けるも、続く翔選手、ササモ選手が倒されてしまいます。これでSS熊本は60ポイントに到達し、4巡目の先鋒までの4戦で1勝すれば勝利になる王手をかけました。3巡目の1試合目でウメハラ選手に1巡目で勝利したヤナイ選手を当てますが一歩及ばず、SS熊本が決勝戦に進出しました。

1巡目と3巡目に出場したウメハラ選手ですが、眼鏡を持ってくるのを忘れたというミスが発覚。そこまで対戦に影響はなかったようですが、SS熊本にとっては、焦りの色が見え隠れする出来事でした。

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Day1のMATCH2は、G8S対SS熊本。SS熊本はMATCH1もアウェイスタートでしたが、今回ももちろんアウェイスタートです。先鋒ネモ選手、中堅ひぐち選手、大将ふ~ど選手で挑みましたが、ガチくん選手とカワノ選手に破れ、今度は10-30のビハインドを背負います。

2巡目はG8Sがアウェイ。先に3人のオーダーを発表するのですが、ここで会場がざわつきます。大将にぷげら選手が登場したのですが、選んだキャラクターはなんとジュリ。今シーズンはダウンロードコンテンツのベガとの相性が良く、好成績を残していた中でのキャラ替えは驚きです。

しかも、相手側がオーダーを被せられるアウェイでジュリを出してくる奇策に、SS熊本も驚きを隠せないようでした。その奇策がハマったのか、ここでも30ポイントを獲ったのはG8S。これで60ポイントのリーチです。3巡目は先鋒戦をふ~ど選手が死守しますが、中堅戦でネモ選手対ガチくん選手のリーダー対決が再び。ここでもガチくん選手が勝利し、G8Sが「DIVISION S」の優勝を決めました。

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Day2「DIVISION F」

Day2は「DIVISION F」のプレイオフです。「DIVISION S」と同様にリーグ本節における各個人賞が発表されました。また、両リーグを通じての新人賞も発表。受賞者は以下の通りです。

ドライブインパクト賞 ときど選手(RC)/16回
最高勝率 ときど選手(RC)・LeShar選手(RC)/80%
最高ポイント LeShar選手(RC)/160ポイント
新人賞 LeShar選手(RC)

Day1のMATCH1はCR対iXAです。アウェイ側のiXAはACQUA選手のブランカ、ひびき選手のリリーとここまでは順当。しかし、大将のひかる選手はA.K.Iではなく、なんとエドモンド本田(E本田)を選択します。

プレイオフ前の配信でE本田を使っていることはわかっていましたが、本節で大活躍し、12月のアップデートでより強化された印象のA.K.Iではなく、E本田を選んだことには、前日のぷげらジュリ以上に会場が沸き立ちました。

CRはホームの優位性を活かし、得意な対戦相手を選んで選手を被せてきます。ひかる選手は、これまでにないどっしりと構えたE本田の戦い方をみせ、ボンちゃん選手を追い詰めますが、惜しくも敗退。CRが3連勝で40ポイントを獲得しました。

2巡目はCRが順番を入れ替えるものの、布陣は同じオーダーでiXAを待ち受けます。iXAは先鋒と中堅を入れ替え、今度はホームとしての被せを見せましたが、勝ちきれず2連敗を喫します。これでCRが60ポイントに到達し、最後の大将戦で勝利すれば基準点の70ポイントを上回る80ポイントでの勝ち抜けです。

大将戦は1巡目と同じ組み合わせ。再度、E本田で挑むひかる選手はやはり独自の戦い方でボンちゃん選手を苦しめます。しかし、やはり勝ちきることができず、途中からA.K.Iにキャラを変更。1セットを取るものの反撃もここまで。パーフェクトスコアでCRが勝利しました。

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Day2のMATCH2はRC対CRになりました。CRはMATCH1とは逆にアウェイからのスタート。1巡目でCRは中堅のshuto選手を起用します。おそらくshuto選手はiXA戦の攻略はせず、RC戦の要として注力してきたと思われます。

しかし、1試合目のiXA戦でやったことをそのままやられた形の3連敗となりRCに40ポイントを献上。2巡目のRCは1巡目とまったくオーダーも順番も変えずにCRを待ち構えます。ときど選手にどぐら選手を、あきら選手にボンちゃん選手をあてるも、返されてしまいます。これまた1試合目と同様に2巡目にしてRCが60ポイントを獲得し、優勝にリーチをかけました。

あとがなくなったCRは、大将のLeShar選手にshuto選手がマリーザをぶつけます。今シーズンから豪鬼を使っているshuto選手でしたが、昨シーズンはマリーザの使い手でした。しかもクラシックとモダンを使い分け、マリーザ使いの中でもトップに君臨する強さを誇っています。

LeShar選手はマリーザの登場を予測していなかった様子で、かなり戸惑いを見せており、フルセットフルラウンドまでもつれ込みます。しかし、最後はLeShar選手の人間性能が上回り、パーフェクトKOで勝利に色を添えました。

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グランドファイナルは2025年2月11日に開催!

これでパシフィコ横浜で開催されるグランドファイナルは、G8SとRCの2チームによる対戦となりました。グランドファイナルはプレイオフと同じ方式で対戦しますが、勝利ポイントがさらに20ポイント多い、90ポイントとなっており、より長く厳しい戦いとなります。

調整が入ったことと、1カ月の準備期間で使用キャラクターの変更を考える人は多いのではないかとみていましたが、実際にはぷげら選手とひかる選手に2人だけでした。しかも、ひかる選手はA.K.Iが厳しくなったというより、対CR戦において、E本田が行けそうとの判断だったと言います。ぷげら選手も大将戦に出すことで、ベガに戻せる余地を残していたと言っており、短期決戦向けの仕上がりにしてきた印象です。

CRをはじめ、今回の調整では厳しめの結果となりましたが、単に強化されたキャラクターに乗り換えることはせず、これまで使ってきたキャラクターと自分の練度を信じて使用し続けていました。巷のオンライン対戦ではかなり使用キャラクターの比率は変わったようですが、プロ選手にとって、今回の調整レベルであれば、やりこみと攻略でなんとかできるのでしょう。

そして、グランドファイナルは2025年2月11日。今度は1カ月半の準備期間があります。もう、調整は入ってこないと思われますが、今度は対戦相手が確定した状態での対戦なので、お互いにバチバチに仕上げてくることでしょう。それがどんな結果になるか、今から楽しみです。

日本一のチームが決まったあとは、CAPCOM CUPで世界大会が待っています。昨シーズンはUSのBanditに敗北してしまったので、世界一を奪還してほしいところです。

最後に各チームからSFL2024とプレイオフの感想を聞いています。こちらもぜひ、最後まで読んでみてください。