◆PCMark 10 v2.1.2636(グラフ25~30)
PCMark 10 v2.1.2636
UL Benchmarks
https://benchmarks.ul.com/pcmark10
ではもう少し一般的なアプリケーションではどうか? ということでPCMark 10である。個人的にはこうしたアプリケーションでRyzen Threadripperにアドバンテージは殆ど無いと思うが、Ryzen 9 7950Xとそれほど変わらない速度で動けばまぁ満点かと思う。Single Threadの処理が圧倒的に多い(ということは、コア数の少ないRyzen 9 7950Xの方が有利)し、広大なメモリ帯域を利用するようなケースも少ないからだ。ということでまずはOverallがグラフ25であるが、まぁなんというか予想通りの結果である。それでもRyzen Threadripper 7970X/7980X共に健闘しているというべきであろうか。
そしてどの辺がネックなのか? ということでTest Group(グラフ26)を見るとやはりGamingが一番大きな差で、これは何となく想像はしていた。ただ意外にDigital Contents Creationも差が大きい。まずEssential(グラフ27)は、これはもう実効動作周波数の差がそのままスコアに効いている感じだ。次のProductivity(グラフ28)もそんな感じ。Digital Contents Creation(グラフ29)では、大差がついてるのがRendering & Visualizationで、これはVisualization of 3D modelで利用している3DMark Sling Shotのスコア(OpenGL 4.3)がRyzen Threadripper 7970X/7980Xが190.15/192.39fps程度なのにRyzen 9 7950Xが449.25fpsと倍以上なのが理由である。もう一つのPOV-Rayの方は逆にRyzen 9 7950Xが8.43secなのに対しRyzen Threadripper 7970X/7980Xが6.27sec/6.20secとこちらが高速だが、トータルスコアはRyzen 9 7950Xが圧倒するのも仕方がない。
ちなみにこのテストはもう一つ問題があって、POV-Rayは最大でも64個までの仮想コアしか扱えない。つまりRyzen Threadripper 7980Xではコアが半分休んでいる状況になるので、殆ど結果が変わらないことになる。
最後がOffice Application(グラフ30)で、これはまぁ想定通りという感じか。全体として、勿論Ryzen Threadripper 7970X/7980Xにアドバンテージは無いのだが、ただ言うほど極端に性能は落ちておらず、そこそこに使える事は確認できた。
◆Procyon v2.6.920(グラフ31~35)
Procyon v2.6.920
UL Benchmarks
https://benchmarks.ul.com/procyon
もう一つ、Procyonの結果も示しておく。グラフ31がOverallだが、意外にRyzen Threadripper 7970Xが頑張っているというべきか。ただPhoto Editingを除くとやはり最速はRyzen 9 7950Xだし、Ryzen Threadripper 7980Xは良いところ無しの結果に終わっている。以下もう少し詳細をみてみたい。
まずPhoto Editing(グラフ32)だが、これはまぁセオリー通り。標準のプラグインだけだと基本PhotoshopもLightroom Classicも基本Single Thread動作だから、この結果は妥当である。次のVideo Editingも、Premier Proの動作そのものはSingle Threadだし、Media EncoderもやっぱりMulti-Thread化されていないので、この結果は妥当である(ちなみにこのグラフのみ所要時間なので、長いほど遅い事に注意。あと横軸は対数軸にしている事にも注意)。なんというか、Ryzen Threadripper 7980Xには良いところ無しの結果である。
Photo34はOffice Productivityであるが、これは先程のPCMark 10のApplication Testとほぼ同一の傾向。やはりSingle Thread性能がそのまま効いてくる。理解できないのは次のAI Inference(グラフ35)で、こちらは毎秒あたりのInference処理数を比較したものだが、なんでこれがMulti-Thread化されていないのか? まぁ結果はご覧の通り。まぁ散々たる結果であった。