◆TMPGEnc Video Mastering Works 7 V7.0.30.33(グラフ21)
TMPGEnc Video Mastering Works 7 V7.0.30.33
ペガシス
http://tmpgenc.pegasys-inc.com/ja/product/tvmw7.html
次いでこちらだが、いつもと同じように最大同時4 StreamとかだともうRyzen Threadripper 7980Xだとコア数を持て余すのは目に見えている。そこで今回は同時処理Stream数を4/8/16に増やしてみた。それ以外はいつもと同じく、4K解像度で29.97fpsのVP9エンコード動画を、同じ解像度/フレームレートのH.265にトランスコードする時間を測定している。さて結果だが、確かにRyzen Threadripper 7970X/7980XはRyzen 9 7950X比で2倍近いエンコード速度を実現している。それは良いのだが、Ryzen 9 7980Xは8 streamで最速の66.5fpsで、Ryzen 9 7950Xの丁度2倍のエンコード速度ではあるのだが、Ryzen Threadripper 7970Xと比較してもそれほど大きな性能向上でもないし、何より16core→64coreで性能が2倍、というのはちょっとどうかと思う。そして4 streamだとむしろRyzen Threadripper 7970Xよりも性能が下がっているあたり、ここでもまたMemory Controllerがボトルネックになっている事が伺える。
◆DxO PhotoLab v6.11.0(グラフ22)
DxO PhotoLab v6.11.0
DxO
https://www.dxo.com/ja/dxo-photolab/
デジカメのRawデータ現像ソフトであるDxO PhotoLab。最新VersionはPhotoLab 7になっているのだが、テスト時の最新版はPhotoLab 6の最終バージョン(6.11.0)だったということで、こちらで比較を。このPhotoLabだが、ノイズ削減にHigh Quality/Prime/DeepPrime/DeepPrime XDという4種類のオプションが選べる。ここでHigh Quality/Primeはアルゴリズムベース、Deep Prime/Deep Prime XDはAIベースでの処理を行う。High Qualityは実質殆ど何もやってくれず、一方でDeep Prime XDは一番ノイズが綺麗になる一方猛烈に重い。そこで今回はHigh Qualityを除くすべてのケースでどこまで処理が高速化できるかを比較してみた。ちなみに元画像はOM Systems E-D1XのRaw画像(5472×3648pixel)である。またGPUのアシストは無効化し、CPUだけで処理を行った。
結果はグラフ22の通り。一番高速なケースでも1枚の処理に2秒以上掛かるので、結果は毎分あたりの処理枚数(Pictures Per Minute)で示している。意外だったのはDeep PrimeはRyzen Threadripper 7970X/7980Xが殆どRyzen 9 7950Xと差が無い事である。逆に一番負荷がかるいPrimeでは結構大きな差がついた。ちなみにDeep Prime XDを実施した場合の、100枚分の画像の処理時間はRyzen 9 7950Xが5069秒でほぼ1時間半、Ryzen Threadripper 7970Xが3128秒、Ryzen Threadripper 7980Xが3095秒となっており、どちらも1時間弱。そういう意味ではRyzen Threadripperを使う事で多少快適になるのは事実だが、これGPUを有効にすると更に高速化される(100枚で10分掛からない)事を考えると、どっちに金を突っ込むか悩みどころではある。そして予想通りRyzen Threadripper 7980XのRyzen Threadripper 7970Xに対するアドバンテージはごく僅かであった。
◆Photoshop 24.1+NeatImage 9.2(グラフ23)
Photoshop 24.1+NeatImage 9.2
NeatLab
https://ni.neatvideo.com
NeatImageもやはりデジカメのノイズ削減ツールである。こちらは単体でも動作するほか、Photoshopのプラグインとして使う事も可能である。今回はPhotoshopのアクションを作成し、100枚の画像(DxO PhotoLabで処理した100枚のE-D1Xの現像後の写真)に対して自動トーン補正/自動コントラスト/自動カラー補正とNeatImageによるノイズ削減を連続して行わせ、その所要時間から処理速度(PhotoLabと同じく、毎分あたりの処理枚数)を比較してみた。
ということで結果(グラフ23)だが、意外なほどに性能差がでなかった。NeatImageもやはりPreference→PerformanceタブでCPUとGPUの利用を設定できるので、今回GPUは不使用とした上で全CPUコアを利用するように設定してみたのだが、それでも意外なほどに性能差が無かった。それでもコア数に応じて性能が上がっているから使っていないわけではないのだが、NeatImageのDeNoise程度だと16コアもあれば十分、という事なのだろうか。これ、もう少し性能差が出ると思っていただけにちょっと残念だった。
◆Linpack Xtreme 1.1.5(グラフ24)
Linpack Xtreme 1.1.5
Regeneration
https://www.ngohq.com/linpack-xtreme.html
ワークステーション用途のRyzen Threadripper Proはともかく、個人ユース向けのRyzen Threadripperで数値演算とかをどれほどやるのか? というのはちょっと疑問が残るところではあるが、一応SandraでDhrystone/Whetstoneの結果は示しているので、もう少し新しいところでLinpackも試してみた。ちなみにテスト条件はExtreme(8GB)、繰り返し数5回を選択している。
結果はグラフ24の通り。Ryzen Threadripper 7970XはRyzen 9 7950Xのきっちり倍の性能が出ている一方、Ryzen Threadripper 7980XはRyzen Threadripper 7970Xの25%増しでしかない。こちらも、恐らくボトルネックなのはMemory Bandwidthである。まぁなんとなくそんな気はしていたが。