◆RMMT 1.1(グラフ67~68)
RMMT 1.1
Rightmark.org
http://cpu.rightmark.org/products/rmma.shtml
続くSandraの前に、一応こちらも確認しておく。とりあえずDDR5を利用しているCore i5-12600Kは論外として、DDR4を利用するRyzenに関しては概ね同等といったところ。むしろRead(グラフ67)でRyzen 7 5800XがThread数が増えると妙に成績が落ちるのがちょっと気になるところではあるが。また8ThreadでRyzen 5 5600が一番帯域が上、というのも6コアである事を考えるとちょっと不思議ではある。逆にWrite(グラフ68)はまぁこんなもんだろう、という妥当な結果と考えられる。
◆Sandra 20/21 2021.11.31.81 Tech Support(グラフ69~106)
Sandra 20/21 2021.11.31.49 Tech Support
SiSoftware
https://www.sisoftware.co.uk/
まずDhrystone/Whetstone(グラフ69~72)。MT/MC(グラフ69・71)はほぼ動作周波数×コア数といった結果で不思議はない。逆に1T(グラフ70・72)で見ると、性能差はずっと縮まる。ここまでのゲームベンチマークではRyzen 5 5500とRyzen 5 5600の間には結構明確な性能差が見られたが、純粋に演算性能だけ比較するとそれほど差が無い事が確認できる。これはRyzen 7 5700XとRyzen 7 5800Xでも同様だ。
CPU Multimedia(グラフ73~76)も同じで、こちらだとCore i5-12600Kの性能があまり芳しくない以外はDhrystone/Whetstoneと同じとなっている。
Cryptography(グラフ77~80)のうち、AES Encryption/Decryptionに関しては、AES命令のスループットそのものはRyzenの方が上だが、メモリ帯域が頭打ちになるためか、MT/MCではCore i5-12600Kの方が上である。あと気になるのは1TでRyzen 5 5500が意外に性能が伸びない事。同じZen 3コアといいつつ、CezanneとVermeerではAES命令のスループットが異なるのか、それとも1TであってもL3容量が半減しているのはペナルティが大きいのか、どっちなのだろう? 逆にHashingに関しては専用命令が無い事もあって、ほぼ動作周波数×コア数に関係した結果になっている。不思議なのは、1TだとCore i5-12600Kの性能は悪くないのに、MT+MCだと芳しくない事だ。どういう理由なのだろう?
Financial Analysis(グラフ81~83)は、比較的穏当な結果になっている。Core i5-12600KとRyzenではものによって得手不得手があるので、どちらが上というのはケースバイケースになるが、Ryzenに関してはほぼ性能が想定通りに収まっていると言える。これは次のScientific Analysis(グラフ84~86)も同じである。FFT(グラフ85)に関しては、やはりDDR5の効果でCore i5-12600Kが高速だが、逆にそれ以外で言えばRyzen系が健闘している。
AI Training/Inference(グラフ87~90)も傾向としては同じ。Core i5-12600KはMT+MCでは高速だが、1Tだと急速に性能が落ちる。対してRyzenは比較的高め安定という感じ。例外はRyzen 5 5500で、やはりL3の容量半減がAI向けでは大きな性能面でのディスアドバンテージになっていることが伺える。Image Processing(グラフ91・92)も傾向としては同じで、MT+MC(グラフ91)ではほぼ動作周波数×コア数で決まる感じ。逆に1T(グラフ92)は純粋に動作周波数の差、という感じだ。
Inter-Thread Latency(グラフ93・94)は、Ryzen系では当たり前であるが意外に大きな差は無い。ただしBandwidth(グラフ95・96)は当然動作周波数の差が大きい。面白いのはRyzen 5 5600Xの4×1Mのケース。8 CoreのRyzen 7 5700X/5800XはギリギリL3が溢れる関係でグンと性能が落ちているのだが、6 CoreのRyzen 5 5600XはL3 Hitする関係で高め安定である。ただこれは理屈を考えれば当然の話で不思議ではないのだが。
絶対的なメモリアクセス帯域(グラフ97・98)は当然ながらMCだとCore i5-12600Kが一番帯域が大きいが、1TにするとRyzen系が上位に来る。要するにコアのLoad/Storeユニットの性能そのものはRyzen系にアドバンテージがあるが、DDR4が足かせになっているわけだ。例外はRyzen 5 5500で、単にL3が半分というだけでなく、元々はGPUとBandwidth Sharingの機能が入ったCezanneコアであることが関係しているのかもしれない(とでも思わないと、1Tでの低迷が説明付かない)。
Cache&Memory Bandwidth(グラフ99・100)の結果を見ると、そのRyzen系のL3の効果が改めて確認できる。L3は持つもののBandwidthはそれなりのCore i5-12600Kの1MB以降を見るとこれは明らかである。
最後にLatency(グラフ101~106)だが、こちらに関してはあまり特筆すべきことは無い。Ryzen系も特におかしな傾向は見当たらず、ほぼこれまでの結果と一致しているとして良いかと思う。
ちょっとここでSandraの結果だけまとめておくと、純粋なCPU性能という観点で言えば、素直に
Ryzen 5 5500 < Ryzen 5 5600 < Ryzen 7 5700X < Ryzen 7 5800X
の順になっており、またその性能差もコア数や動作周波数の差を考えれば妥当な範囲であると考えられる。相違点としては、やはりRyzen 5 5500のみL3が16MBであり、これが性能に及ぼすインパクトは意外に大きいというあたりだろうか。