ボーズ「Bose QuietComfort Earbuds」
NC製品の先駆的メーカーであるボーズから登場した「Bose QuietComfort Earbuds」は、同社初のNC完全ワイヤレスイヤホン。20年にわたる「QuietComfortシリーズ」のNC搭載ヘッドホンの伝統を継承し、耳に収まる小さなサイズながら同等のパフォーマンスを追求したとしています。実売価格は約33,000円。
外側と内側のノイズを抑えるハイブリッドタイプのアクティブNCと、装着感を高める新たなStayHear MaxチップによるパッシブNCの合わせ技で騒音を強力に低減。さらに、11段階(0~10)で調節できるノイズコントロール機能が備わっており、NCの強さを好みに合わせて設定可能です。専用アプリでNCの効き具合を3つまで「お気に入り」に登録しておくことができ、左側のイヤホンの表面を指で2回タップすると順番に切り替わります(デフォルト設定は「10」「5」「0」)。
イヤホンにタッチするだけでNC効果の強さを切り替えられるのは便利なものです。たとえば電車の中ではNCの強さを最大まで上げて音楽を楽しみ、駅のホームなど外の音も聞きたい状況では外音取り込みを最大にすることで周囲を確認。歩道を歩きながら音楽も楽しみたいときはほどほどのNCに設定するといった操作が手軽に行えます。外音取り込みの音質も、イヤホンを耳に付けたままとは思えないほどクリアで、この点はAirPods Proといい勝負です。
サウンドに関しては中高域はクリアでありつつ、やや厚めの低域に特徴があり、ロックやポップス向きの音質という印象を受けました。操作面では、左イヤホンのショートカット機能(長押し)でバッテリー残量チェック、もしくは曲送りが選べるほか、2020年12月のアップデートで右イヤホンの表面を指でなぞる(スワイプする)と音量を調節できるようになりました。ただ、スマホとBluetoothではつながっているのに、アプリ上でイヤホンを認識しない状態がまれに発生する点は気になります。
装着感を高めたイヤーフック付きのイヤーピースが3サイズ付属します。連続再生時間はイヤホン単体で最大約6時間、ワイヤレス充電対応のケースと組み合わせると計18時間。イヤホンや付属の充電ケースが、完全ワイヤレスイヤホンとしては比較的大きめな点は好みが分かれそうです。
Jabra「Elite 85t」/「Elite 75t」
デンマーク発のオーディオブランド・Jabraから2020年に登場したNC完全ワイヤレス「Elite 85t」は、片側に3基、左右あわせて6基のマイクを使い、NC機能とハンズフリー通話における品質を高めた製品です。実売価格は約29,480円。
同じく2020年には、既に発売されていた完全ワイヤレス「Elite 75t」、「Elite Active 75t」にファームウェアアップデートを提供し、無料でアクティブNC機能を追加しています。今回は上位機種のElite 85tと、NC機能が追加されたElite 75t(実売約14,480円)をピックアップしました。
Elite 85tとElite 75tのデザインは双子のように似ていますがサイズは85tのほうがやや大きく、アクティブNC機能は前者がフィードフォワード/フィードバック方式のハイブリッドタイプでANC専用のチップセットも搭載、後者はフィードフォワード方式のみという違いがあり、75tはマイクの数も左右合わせて4つと少なめです。
このため、NC性能はElite 85tのほうが騒音低減の面で優れていますが、Elite 75tも後から追加されたとは思えないほど良く効きます。電車に乗って試してみたところ、空調ノイズや風切り音はどちらもしっかり抑え込んでおり、金属質で耳ざわりな騒音などは85tのほうがより抑えられていました。外音取り込み(HearThroughモード)を使ったときの音質には顕著な差があり、85tの外音の自然さと比べると75tはやや不自然さが残ります。
専用アプリを利用するとNCの効き方を細かく調整できるほか、自分の耳に合わせてNCの効き方や音質をパーソナライズしたり、通話時の品質を調節したり、イヤホン本体の物理ボタンの操作を任意の機能(着信応答など)に割り当てたりできます。音楽再生時のイコライザーや、作業に集中したいときに波の音など環境音をひたすら流す機能、イヤホン紛失時の探索機能も備わっているという多機能ぶり。iOS版では、ウィジェットにこのアプリを登録しておくと、アプリを立ち上げることなくNCモードの切り替えや外音取り込みのオン/オフができます。
搭載ドライバーのサイズは85tが12mm、75tが6mmで、サウンドについては前者は比較的フラットでジャンルをそれほど選ばず、後者はEDMやロック向きの低域に比重を置いた元気な雰囲気という感じで、得意なジャンルや音の傾向が異なります。85tの特徴は、耳の内部に圧力がかかるのを防ぐベントを備えたセミオープンデザインになっており、長時間耳に着けていても疲れにくいところ。上位機らしく装着感にも配慮した設計になっています。
Eliteシリーズならではの機能として、どちらも同時に2台のデバイスと接続できるマルチポイントに対応しているので、仕事用とプライベート用のスマホを使い分けていて同じイヤホンを使いたい向きには貴重な存在と言えそうです。また、どちらのケースもワイヤレス充電に対応しており、シャツの胸ポケットに収まるくらいコンパクトなサイズも好印象。NCオン時の連続再生時間は、イヤホン単体ではどちらも5.5時間。充電ケースと組み合わせたときは85tが最大19.5時間、75tが最大18.5時間となっています。